研究実績の概要 |
胎盤におけるTLR3を介したシグナル伝達について解析し、得られた知見から胎盤TLR3を介したシグナル伝達の抑制モデルを作成した。 1) 胎盤におけるTLR3関連シグナル分子の解析 TLR3シグナルは、TLR3にリガンドが結合するとTRIFが結合することで、下流のIRF3とNFκBがリン酸化され核内に移行することで転写が促進される。胎盤におけるTLR3シグナルをpIRF3を指標に免疫組織化学的に確認した。免疫蛍光法にて、TLR3、TRIFとpIRF3の多重染色を行い、対照群とpoly(I:C)投与群を比較した。pIRF3陽性シグナルはpoly(I:C)投与群でより強く、またdeciduaに限局しTLR3, TRIFとともに共局在していることを示した。 2) 母体免疫活性化時のpIRF3陽性シグナルの変化とpIRF3陽性細胞の解析 脱落膜においてTLR3シグナルが生じている細胞の由来について明らかにするためにEGFP transgenic マウスを導入し、胎児由来細胞にEGFPが発現する系を作成した。この系を用いて解析したところ、対照群、poly(I:C)投与群両群で、pIRF3陽性細胞は、EGFP陰性細胞に認めた。このことから、TLR3シグナルは、母体由来細胞で生じていることが示唆された。CK7とvimentinを用いて免疫組織学的に解析を行い母体由来間葉系細胞でTLR3シグナルが生じていることを示した。 3) 胎盤TLR3を介したシグナル伝達の抑制モデルの作成 胎盤でのTLR3シグナルの抑制モデルを母体にTLR3のinhibitorを腹腔内投与することで作成した。TLR3 inhibitorの投与量は、3点(0.25 mg/マウス, 0.5 mg/マウス, 1.0 mg/マウス)を設定し、胎盤におけるinhibitorの効果を免疫組織化学およびウエスタンブロッティング等で検討している。
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