研究課題/領域番号 |
16K19675
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
八幡 直樹 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (60450607)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | iPS細胞 / ミトコンドリア / mtDNA |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアの働きが低下することで発症するミトコンドリア病の中で、ミトコンドリアDNA (=mtDNA)の変異が原因である場合の多くは、1つの細胞の中に正常なmtDNA と変異mtDNA が混在する状態(ヘテロプラスミー)で発症する。 ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様発作症候群(MELAS) はミトコンドリア病の一つで、mtDNA のA3243G, T3271C, G13513Aといった点変異が原因で発症することが知られている。本研究は、mtDNA変異を有するMELAS患者由来iPS細胞を用い、変異mtDNAに由来するミトコンドリア病の病態発症閾値(どの程度変異mtDNAが存在すると病態発症につながるか)を細胞レベルで解析することを目的としている。 本年度は、MELAS-iPS細胞の骨格筋細胞への分化誘導を試みた。PiggyBacトランスポゾンベクターを用いて、骨格筋分化のマスター遺伝子であるMyoD1をTet-Onシステムにより発現誘導できるシステムをMELAS-iPS細胞のゲノムに導入した。得られた正常mtDNAのみのiPS細胞と高い変異mtDNA比率のiPS細胞について、それぞれ胚様体形成による三胚葉への分化能を検討したところ、高い変異mtDNA比率のiPS細胞に関しては分化抵抗性が観察された。これらのiPS細胞にドキシサイクリン(Dox)を投与することにより、骨格筋細胞への分化誘導を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MELAS-iPS細胞から骨格筋細胞への誘導を行う為に、Dox投与でMyoD1の発現誘導が可能なiPS細胞を作製した。得られた正常mtDNAのみのiPS細胞と高い変異mtDNA比率のiPS細胞について、それぞれ胚様体形成による三胚葉への分化能を検討したところ、高い変異mtDNA比率のiPS細胞に関しては分化抵抗性が観察された。一方、ドキシサイクリン(Dox)を投与することにより、骨格筋細胞への分化誘導を行ったところ、高い変異mtDNA比率のiPS細胞に関しても、短期間でMHC陽性細胞を誘導することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、MELAS-iPS細胞より誘導した骨格筋細胞の解析を行う。さらに、MELAS-iPS細胞の神経系細胞への分化誘導を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き、iPS細胞の維持、分化誘導、分化誘導細胞の評価に必要な消耗品等に主に使用する予定である。
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