本研究は1) 新生児マウスとヒト臍帯血を用いたmicrovesicles (MV)の早期産児における特徴の解析、2) マウスCLDモデルにおけるMVの動態と病態生理に果たす役割の解析、3) CLD症例の臨床検体を用いたMVの動態解析を目指しており、本年度は2)と3)を中心に研究を進めた。 高酸素性マウスCLDモデルにおける肺胞洗浄液検体より好中球由来MVの増加を認めた事を2018年度までに確認し、今年度は内容物の解析を行うことを主な目標とした。網羅的解析としてRNAseqを行う可能性を見据えて、他施設との共同研究打合せを行った上で、好中球由来MVの単離と網羅的な内容物解析について検討を重ねた。肺胞洗浄液中の好中球由来MVの内容物解析における障壁はマクロファージ由来MVの除去とRNAseqを行うに足るMV数の確保であると考えられた。幼若マウスから得られる検体量に制限があるため、精製の際にMV数を保つことは大きな問題であったが、磁気カラムなどを用いたプロトコールの検討を重ね、結果的に肺胞洗浄液検体内の好中球由来MV数をそれほど失わずに精製することに成功し、現在内容物解析に向けた手続きを開始している。解析結果が得られるまでに時間がかかることは想定されるため、結果の解析は主に2019年度からの基盤研究 (C)に引き継ぐこととして、現在はMV数の変化をバイオマーカーとして使用出来る可能性に関してまとめた論文を投稿する準備を行っている。臨床検体解析については学内での調整が既に済んでいるが、基盤研究 (C)にて継続検討を行うこととした。
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