研究課題/領域番号 |
16K19684
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
西倉 紀子 滋賀医科大学, 医学部, 特任助教 (00649246)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 鉄欠乏性貧血 / Reelin遺伝子 / 側座核 |
研究実績の概要 |
乳児期早期(日齢21-39)に鉄制限(1/10量)をラットに行い、8および12週齢に行動実験を実施し9および13週齢に材料採取を行った。行動実験ではオープンフィールド試験おいて、交互作用に有意差を認めた。コントロール(CN)群に比べ、鉄欠乏(FD)群では総移動距離および辺縁部移動距離の減少率が低い結果となりFD群は成獣となってからも多動が残った。モノアミン測定では13週齢で側座核においてドーパミン(DA)の取り込み増加を認めた。13週齢の前頭皮質(PFC)および側坐核(NACC)の2領域において次世代シークエンサー用いた転写産物(mRNA)の解析をRNA-seq法を用いて施行した。結果はNACCにおいてFD群でReelin遺伝子の転写産物が有意に減少していた。Reelin遺伝子はシナプスの可塑性に関わる重要な遺伝子であり、生後鉄欠乏の行動特性に関連している考えた。組織形態異常解析についてはsynaptophysinを用いてシナプスの免疫染色を行い、シナプス密度がPFCでは有意差はなかったが、NACCにおいてはCN群に比してFD群で増加していた。近年、神経発達症は増加していることが報告されており、胎児期や幼児期の栄養環境がその発症に関連しているとの報告はあるものの、機序が不明である。統合失調症や双極性障害、自閉スペクトラム症などの神経疾患ではReelin遺伝子の発現の低下、また、注意欠如多動症では神経伝達物質(DA)の変化、シナプス密度についても統合失調症では低下、自閉スペクトラム症では増加が認められると報告されてる。神経発達症は症状の出現に応じたスペクトラムな症候群であり、ヘテロジーニアスな集団である。乳児期の鉄欠乏によりReelin遺伝子の発現量がエピジェネティックな変化により減少することで不可逆的な変化をもたらし、成人期にも行動特性が残る一因となることを明らかにしたのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね研究内容は計画通り遂行でき、新たな知見を発見することができたが、その成果の発表に際して、演題登録している学会が本年5月に実施されること、および、論文投稿については現在投稿中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
学会にて発表後、論文が今年度中に受理されるようすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
演題登録している学会が本年5月に実施されること、および、論文投稿中でまだ受理されていないため。
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