研究課題
マウス脳性麻痺モデルの傷害脳組織において、組織損傷により発現が誘導された分子、また、臍帯血移植により発現が変動した分子としてCXCL12、CCL9、CX3CL1、CXCL1、CXCL9、CXCL16およびこれら分子に対応するレセプター分子CCR1、CXCR2、CXCR4、CX3CR1に注目して、詳細な発現動態や機序を明らかにするため検討を進めた。健常なマウスの脳組織を採取して脳細胞を調製し、これを損傷組織の環境を模した炎症刺激を加えて培養してケモカイン産生とレセプター発現の変化をビーズアレイ法やフローサイトメトリー法により評価した。典型的な炎症性サイトカインであるIL-1、IL-6、TNF-aなどの刺激によりケモカインや受容体の発現が増強した。一方で、炎症刺激と組み合わせてケモカインを刺激剤として用いた場合ではさらなるケモカインの発現増強や受容体の発現変化は見られなかった。マウス脳性麻痺モデルまたは臍帯血移植を施したモデルマウスより採取した脳組織から細胞検体を調製して、フローサイトメトリー法により脳細胞のマーカー分子と組み合わせて上記ケモカイン分子、および対応するケモカインレセプターの発現を解析したところ、CD11b陽性のミクログリアにおいて、組織損傷と臍帯血移植によるケモカインの産生増強が認められた。また、ミクログリアに加えてGFAP陽性のアストロサイトにおいて、レセプターCXCR2やCXCR4の発現が臍帯血移植後に増強した。組織傷害や臍帯血移植に応じて、脳組織を構成する細胞がケモカインの産生を担い、同時にケモカインレセプターの発現を変化させたことは、損傷組織の病態形成や組織修復、機能回復にケモカインネットワークが関与していることを示唆している。
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