研究課題/領域番号 |
16K19688
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤吉 順子 九州大学, 大学病院, 助教 (20467921)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 極低出生体重児 / 高フェリチン血症 |
研究実績の概要 |
(目的)新生児集中治療を要する出生体重1500g未満の極低出生体重児VLBWIでは、重症未熟児貧血や呼吸循環状態の維持、緊急手術などで輸血療法が不可避である。筆者らは、当院NICUに入院したVLBWIを対象に前向きに鉄動態のモニタリングを行い、出生時から月齢3までに高フェリチン血症(500ng/mL以上)を13.6%に認め、敗血症と気管支肺異形成症の重症化に独立した危険因子であることを見出した。本研究ではモニタリングと同時に採取した保存血清を用いて、鉄制御機構(Hepcidin)、免疫作用(NGAL)と酸化傷害(8-oxo-dG)を測定し、VLBWIにおける鉄過剰の病態解析を目指す。研究成果により、鉄過剰合併症の重症化抑制や鉄キレート療法の可能性が期待される。 (平成29年度の計画と実績)平成29年度の研究計画では対象児を200例集積することであった。症例数は集積できたため、高フェリチン血症の病態解析を行った。症例数が少なかったため、今回の結果は有意ではなかった。 (研究の意義)本研究は鉄動態をモニタリングとともに血清保存を同時に行っている。本研究は筆者らがこれまで解明してきたHepcidinによる鉄制御機構とSiderocalin(NGAL)の免疫学的作用の集大成として、鉄過剰状態の免疫作用と酸化傷害を同時に測定する。NICUでは輸血療法を受けた児での鉄動態モニタリングは一般的ではなく、現行のガイドラインでも必要性は記載されていない。輸血後鉄過剰の危険因子を明らかにして、感染症や気管支肺異形成の重症化の抑制を目指す。また、鉄キレート療法による予防効果の可能性を見出すことでさらなる臨床研究に結び付ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画は症例の集積と、酸化傷害の解析およびカットオフ値の設定であった。酸化傷害の解析は行ったが、有意な結果がでず、カットオフ値の設定までは行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
症例をより多く集積し、モニタリングと同時に採取した保存血清を用いて鉄制御機構、免疫作用と酸化傷害を測定し、VLBWIにおける鉄過剰の病態解析を目指す。研究成果により、鉄過剰合併症の重症化抑制や鉄キレート療法の可能性が期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)本年度は計画通りに解析を行ったが、症例数が少なく、物品は当教室に既存のもので代用することができたため購入に至らず、使用額が計画より少額となった。 (使用計画) 平成30年度は解析数を増加させる予定であり、物品購入が増える予定である。また、成果発表のための旅費も必要となる。
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