今後の研究の推進方策 |
1) タイムラプスによる細胞周期解析:G1期の核が赤色の蛍光、S/G2/M期の核が緑色の蛍光を発するFucci を発現するFucci-NesCre-Aspm KOを用いて、胎仔終脳壁前1/3から、脳脊髄膜をつけた状態で組織切片(200μm)を作成し、コラーゲンゲルに包埋して、ガラスボトムディッシュ内で組織培養を行う。この組織培養ディッシュを、共焦点レーザ顕微鏡に設置したCO2細胞培養チャンバーに移し、タイムラプスで一細胞レベルにおけるG1期、S/G2/M期の移行を24時間~48時間観察する。①細胞周期の経過時間、脳室帯で起こるエレベーター運動に関する位置変化、②蛍光色および細胞形態により増殖・分化、対称・非対称分裂情報などの情報が得られる。すなわち、得られた情報によって単一細胞レベルでかつ多角的にAspm抑制による微小環境への影響が明らかになる。 2) 出生後マウスにおける脳形成解析:当該マウスに、生後15週齢、30週齢で、7日間BrdUを投与し脳を摘出、BrdU、神経幹細胞マーカー(Nestin, Musashi, Sox1/2)、神経細胞マーカー(Doublecortin, NeuN)、グリアマーカー(GFAP, Olig2, CNP, Iba1)、シナプスマーカー(synaptophysin, PSD95)などで免疫染色し、両側海馬歯状回顆粒下帯と側脳室前方の脳室下帯における成体神経幹細胞の再生能を解析する。Fucciの蛍光により、成体神経幹細胞の細胞周期にAspm分子が及ぼす影響が解析できる。以上の実験によって、Aspmの機能が脳の発生段階を追ってどのように変化するか、ならびにその成熟脳での帰結を明らかにすることができる。
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