研究課題
ミトコンドリアは細胞内エネルギーを産生するオルガネラで、アポトーシス、細胞内カルシウムシグナリングなど、さまざまな細胞応答に関与する。ミトコンドリアに関連する分子は発癌機構においても関与していることが示唆されているが、紫外線発癌における機能についての研究は進んでいない。本研究の目的は、表皮細胞の癌化機構(特に紫外線発癌過程)におけるミトコンドリア融合・分裂関連分子の機能を解明することである。また、これらの分子が皮膚癌治療において新規治療ターゲットになり得るかどうかを検討する。1年目の研究においては、ミトコンドリア分裂関連分子の皮膚有棘細胞癌での機能を解析した。皮膚有棘細胞癌培養細胞において、shRNA法によって関連分子に対する遺伝子発現ノックダウンを実施した。それによって、皮膚有棘細胞癌細胞の増殖抑制、細胞周期のG2期での停止、マウス異種皮下移植での腫瘍形成の抑制が認められた。さらに皮膚がん組織と対応する周囲正常皮膚を用いた免疫染色において、本分子は癌細胞で有意に発現が上昇していた。また形態学的には、ミトコンドリア形成不全も認められた。さらに、各種阻害剤を用いた治療実験においても、ノックダウンと同様の結果が得られた。以上から、本分子が皮膚有棘細胞癌において重要な機能を果たしていることが示唆された。
1: 当初の計画以上に進展している
皮膚癌細胞におけるノックダウン実験が順調に進んだため。
今後は正常皮膚における機能解析を中心に実施する予定。これまでマウス皮膚での機能解析をおこなっており、これを次年度も継続する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (1件)
International journal of dermatology,
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/ijd.13573
The Journal of dermatology
10.1111/1346-8138.13825
Contact Dermatitis
巻: 76 ページ: 188-190
10.1111/cod.12682
Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology :
10.1111/jdv.14159
Journal of dermatological science
10.1016/j.jdermsci.2017.02.281
http://www.derm-hokudai.jp/jp/