研究実績の概要 |
皮膚における免疫反応の解析にはマウス個体を用いた実験が広く行われてきた。しかしヒトとは免疫反応には違いがあること、動物愛護の観点などからin vitroでヒト皮膚環境を構築できれば、動物実験代替法として画期的である。これまで同一人物から免疫細胞と表皮角化細胞の両方を樹立することは困難であったが、我々は、数本の毛包を抜去するだけという低侵襲な方法でヒト3D表皮ディバイスの作製に成功した。従来の方法と比べより簡便な方法で毛包由来ヒト3D 表皮ディバイスの作成に成功し、形態学的にも機能的にも皮膚由来のものと同等であることを示せていたので、免疫学的検討を行う前に、刺激物質である (α- terpineol andheptanal) と非刺激物質(2- propanol and dipropylene glycol) などを一般的な42 bis protocol に基づいて細胞毒性、IL-1alpha の産生検討を行った。刺激に対する反応は刺激物質の場合では細胞死と、IL-1alpha の産生を起こすことから、このモデルがin vitro でヒト皮膚環境を構築するのに適していることを確認した。これらの成果は、先行研究とともに、英文論文として報告を行った。過去の報告 (Immunity, 2005)に基づき、ヘパリン採血によって得た健常者末梢血をFicoll 比重分離行い、PBMC 分画を採取し、その後、CD14+ 単球はCD1d-,CD14+ のMACS(MiltenyiBiotech 社)単離システムを利用し単離、単離した細胞は、単相化した、3D ディバイスのケラチノサイトのレイヤー上に蒔きLangerhans 細胞を確認することを計画していたが、導入後、1-2週でLangerhans 様細胞の誘導を確認するには至らなかった。
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