研究課題
昨年度、我々は、cutaneous T-cell lymphoma (CTCL)の腫瘍細胞がcyclophilin Aを分泌し、自身が発現しているCD147に結合し、腫瘍細胞の増殖を促していることを報告した。本年度、我々はその増殖にERK経路が重要であることを見出した。さらに、cyclophilin Aの阻害剤やCD147の中和抗体はin vivoにおける腫瘍細胞の増殖を抑制することができた。以上より、cyclophilin A-CD147の相互関係の阻害はCTCLの新たな治療戦略になると考えた。続いて、CTCL患者の末梢血中におけるIL-10産生制御性B細胞について、解析を行った。CTCL患者の末梢血中ではIL-10産生制御性B細胞の数、割合が減少しており、病勢マーカーと逆相関を認めた。IL-10はCTCLの腫瘍細胞の増殖を抑える可能性が報告されており、IL-10産生制御性B細胞の減少がCTCLの病態に関わっている可能性が示唆された。また、我々は免疫チェックポイント分子であるCD137、CD137Lに注目した。通常、CD137はT細胞やNK細胞に発現し、CD137Lは樹状細胞などの抗原提示細胞に発現している。CD137-CD137Lの相互関係はT細胞の活性化を誘導し、抗腫瘍免疫を増強することが知られている。今回、我々は、CTCLの腫瘍細胞がCD137に加えて、異所性にCD137Lを発現していることを見出した。さらに、中和抗体を用いて、その相互関係を阻害したところ、腫瘍細胞の増殖、生存、CXCR4を介した遊走能の低下がみられた。また、中和抗体はCTCLの細胞株をマウスに接種するtumor inoculation modelにおいて、in vivoにおける腫瘍の成育も阻害することができた。以上の結果から、CD137-CD137Lの相互関係を阻害することはCTCLの新たな治療につながると考えられた。
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