研究実績の概要 |
イミキモド誘発乾癬マウスモデルを用いて、FTY720の乾癬治療薬としての可能性とその作用機序について検討した。野生型マウスにイミキモドを連日(6日間)外用し乾癬皮疹を誘導するが、同時にPBSまたはFTY720も連日腹腔内投与した。FTY720投与群の方がday 5, day 6において臨床スコアが優位に低く、FTY720が乾癬皮疹形成を抑制した。また、day 6の皮疹を組織学的に評価したところ、FTY720投与後群の方が有意に表皮の厚さが有意に薄かった。炎症細胞の数においてもFTY720投与群の方が、有意に低下していた。 更に、乾癬の皮疹に浸潤する制御性T細胞の数を、抗Foxp3抗体を用いた免疫染色により評価したところ、FTY720投与群の方が PBS投与群よりもFoxp3陽性細胞が多くみられた。次にFTY720およびPBS投与下のイミキモド誘発乾癬マウス皮膚におけるサイトカイン、ケモカインのmRNA発現をreal-time PCR法にて定量的に測定したところ、IL17-A, IL-17F, IL-22の発現はday 6で有意にFTY720投与群の方がPBS投与群より発現が低下していた。IL-23の発現はFTY720投与群で低い傾向にあったが有意差はみられなかった。TGFβの発現はFTY720投与群においてday 6で有意に上昇していた。IL-10については発現量に有意差はみられなかった。鼠径リンパ節のmRNA発現は、FTY投与群の方がIL-17A,IL-17Fで高い傾向にあったが、有意差はみられなかった。以上より、FTY720は、乾癬の皮疹を形成するIL-17産生細胞のリンパ節から皮膚の遊走を阻害すると同時に、皮膚にて制御性T細胞を誘導することで、イミキモドによる乾癬皮疹形成を軽減したと考察できる。本研究よりFTY720が乾癬の治療薬として有用である可能性が示唆された。
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