研究課題/領域番号 |
16K19724
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
天田 藍 (梶田藍) 岡山大学, 大学病院, 医員 (80770320)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 表皮水疱症 / Toll様受容体 / IL-6 / SAA |
研究実績の概要 |
重症の表皮水疱症患者ではしばしば腎不全やアミロイドーシスなどの重篤な合併症がみられる。我々は劣性栄養障害型表皮水疱症(RDEB)患者(N=7)では健常人(N=30),アトピー性皮膚炎患者(N=32)または乾癬患者(N=33)と比較して有意に血清中IL-6,SAA の値が上昇していることを見出した。加えて,3人のRDEB患者を5年間フォローしたところIL-6とSAAの高値は持続していた。 次に我々はRDEB患者におけるIL-6とSAAの産生源の一つは皮膚であるという仮説を立てた。RDEB患者は広範囲に皮膚びらん・潰瘍を有しており,その周囲の角化細胞および線維芽細胞は表皮バリア欠損のため微生物由来のPathogen-associated molecular pattern(PAMP)や損傷細胞由来のdamage-associated molecular pattern(DAMP)によって常に刺激されていることから,我々は正常ヒト表皮角化細胞(NHEKs)と正常ヒト真皮線維芽細胞(NHDFs)をToll様受容体(TLR)のリガンドで刺激した。その結果,NHEKsではPam3CSK4 (TLR1/2),poly(I:C) (TLR3),flagellin (TLR5),MALP2 (TLR2/6)が,NHDFsではPam3CSK4 (TLR1/2),MALP2がIL-6とSAAの発現を有意に増強した。これらの結果はRDEB患者における広範囲の慢性皮膚びらん・潰瘍がTLRを介して血清中IL-6とSAAの値を上昇させ,アミロイドーシスのリスクを増加させることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RDEB患者では高SAA血症および高IL-6血症がみられることがすでに報告されていたが、我々はこれらの血液学的異常が永続的であることを見出し、European Journal of Dermatologyに報告した。 また、我々はこれらの異常が皮膚潰瘍部の永続的な炎症に由来すると仮説を立て、それを説明し得るin vitroの結果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き培養表皮角化細胞と真皮線維芽細胞を用いてIL-6とSAAの発現を誘導する詳細な機構を解明し,慢性皮膚潰瘍部の炎症病態を理解する。また,慢性皮膚潰瘍モデルマウスを作成する。野生型Balb/cマウスとIL-6ノックアウトマウスを用いて背部全面に皮膚潰瘍を形成し,6か月飼育する。皮膚,血液,腎,肝,大血管を採取し,臓器重量,病理組織学的評価(HE染色,アミロイド特殊染色)し,さらにIL-6,TNF-α,IFN-γ,IL-4,IL-17AのmRNA,タンパク量をリアルタイムPCR法とELISA法を用いて測定し,コントロール群(無処置群)と比較検討する。
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