研究実績の概要 |
前年度実施した創傷治癒過程のEMTに関わるcomponentについてのPCR array結果をシグナル毎に大別すると、TGF/BNP signaling, WNT signalingの上昇が顕著であった。EMT関連転写因子であるSnail, Slug, Twist, β-cateninの免疫染色を施行したところ、それぞれ創傷断端のケラチノサイトで発現が見られていた。一方、Claudin1, Notch1については有意な発現は見られなかった。In vitroの検討では、表皮ケラチノサイトモデルとしてHaCaT cellを用いた。HaCaT cellを24時間血清入り培地で培養後、24時間血清なし培地でstarveし、①TGF-β1 1ng/ml ②FGF2 30ng/ml ③TGF-β1 1ng/ml + FGF2 30ng/ml ④controlの条件下で24, 48, 72時間培養した。それぞれをRNA回収、cDNAに変換し、EMT関連分子についてのrealtime RT-PCRを施行した。結果、全体の傾向として、TGFβ存在下でのVIM遺伝子(Vimentin)などのEMT関連分子の誘導と、TGFβ+FGF存在下でのEMT相乗効果がみられたが、減弱がEMTのマーカーとなり得るCDH1遺伝子(E-cadherin)は予想に反して発現が増強された。 今後、表皮ケラチノサイトのcell lineを変更して、in vitroのEMT誘導について再検討する予定である。
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