研究課題/領域番号 |
16K19731
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
内田 洋平 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (30571856)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 円形脱毛症 / γδT細胞 |
研究実績の概要 |
ヒト γδT細胞は主にT cell receptor (TCR)Vδ1+γδ T細胞(Vδ1T細胞)とTCRVδ2+γδ T細胞 (Vδ2T細胞)に分けられる。前年度に円形脱毛症の病変部毛包へVδ1T細胞は浸潤し、Vδ2T細胞は浸潤しないことを明らかにした。このことから円形脱毛症の病変部では、Vδ1T細胞の特異的活性化が生じている可能性を考えた。 続いて末梢血液中においてもVδ1T細胞得意的活性化が生じているかどうか、解析した。正常者と比較して、円形脱毛症患者の末梢血Vδ1T細胞は細胞数が増加し、活性化マーカーであるCD25とCD69の発現が増強していた。一方、Vδ2T細胞の細胞数増加やCD25とCD69の発現増強は認められなかった。円形脱毛症患者の末梢血液ではVδ1T細胞の特異的活性化機序が働いていることが示された。 ケモカインレセプターCXCR3のリガンドであるCXCL10が円形脱毛症の病変部毛包で発現することが報告されている。そこで、末梢血Vδ1T細胞上のCXCR3が毛包行性に関与する可能性を考えた。健常者の末梢血Vδ1T細胞はCXCR3の発現は低かったのに対して、円形脱毛症患者の末梢血Vδ1T細胞ではCXCR3の発現が増強していた。一方、Vδ2T細胞ではCXCR3の発現の増強していなかった。また、Vδ1T細胞は細胞障害性分子の脱顆粒を示すCD107aの発現が増強していた。 すなわち、円形脱毛症において、末梢血 γδT細胞はVδ1T細胞特異的に活性化し、CXCR3を介して毛包周囲へ浸潤し、毛包を障害することで脱毛をきたす可能性が示唆され、末梢血Vδ1T細胞を特異的に活性化する機序の解明は円形脱毛症の病態メカニズムの構築と新たな治療ターゲットにつながる重要な成果であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度、円形脱毛症の病変部 γδT細胞だけでなく、末梢血 γδT細胞においてもVδ1T細胞の増加が認められ、末梢血 Vδ1T細胞はCD25、CD69、CXCR3とCD107aの発現が増強していることから、γδT細胞は病変部の毛包周囲だけではなく、末梢血液中においてもVδ1T細胞特異的に活性化しているという新たな事実を発見することができた。この成果は、今後、末梢血Vδ1T細胞を特異的に活性化する機序の解明が、将来的な円形脱毛症の治療法の確立につながる事を示す重要なものである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で得られた知見を基に、Vδ2T細胞が増加する乾癬と比較し、Vδ1T細胞を円形脱毛症の治療のターゲットとして応用するための研究を推進する。Vδ1T細胞の細胞数、CD25、CD69、CXCR3、CD107aの発現を特異的に増強させる分子の同定のため、末梢血 γδT細胞を用いた in vitroでの実験を行う予定である。
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