骨髄移植による皮膚樹状細胞サブセット特異的なCD326分子ノックアウトマウスの作成を試みたが、コントロール群においてLCの数的減少が見られ、今回の実験において、骨髄移植マウスは経表皮的な免疫操作に適しないと判断した。そこで、CD326分子をランゲリンプロモーター下、CD11cプロモーター下に特異的に欠損させるコンディショナルノックアウトマウス(各々、LC-CD326 cKO 、DC-CD326 cKO)を使用した。LC-CD326 cKOでは、LC においてのみCD326分子が欠損し、DC-CD326 cKOでは、LCおよびlangerin+ dDC両者からCD326分子が欠損する。β-galをコードするプラスミドDNAをコーティングされた金粒子を用いてマウスに遺伝子銃を用いて免疫を行い、免疫1週間後に抗原特異的なIgGをELISA 法を用いて測定したところ、LC-CD326 cKO、DC-CD326 cKO間において、抗原特異的なIgGの産生に明らかな差異は認められなかった。次に、OVAを経皮免疫し、産生された抗OVA特異的 IgG のサブクラスを解析した。野生型マウスに比して、LC-CD326 cKOでは抗OVA特異的 IgG1産生が亢進し、既報告と矛盾しない結果が得られた。DC-CD326とLC-CD326 cKO間では抗OVA特異的 IgGの産生に、差異は認められなかった。次にCD326の表皮における発現を解析した。顆粒層にて表皮間をシーリングするようにCD326分子の発現が確認され、興味深いことに、活性化したLCの樹状突起が、顆粒層と結合するポイントでCD326分子が高発現していた。さらにLC-CD326 cKOにおいては、結合ポイントのCD326分子の発現が消失した。今後はより詳細な表皮顆粒層におけるCD326分子の発現パターンとその機能を解析する予定である。
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