研究課題/領域番号 |
16K19741
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
山本 雅章 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (60624640)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 尋常性乾癬 / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells, MSC)は、従来より臓器再生の研究が進んでいたが、一方で最近、MSCがインターロイキン17(IL-17)の過剰免疫状態を抑制する作用もあることが明らかとなった。難治性の炎症性角化症である乾癬の病態にはIL-17が関与するため、生物学的製剤が実用化されたが、感染症などの副作用、 効果減弱に問題があり、投与を続けても乾癬が完治するわけではない。そこで本研究ではMSC等のIL-17制御作用がある細胞に着目し、乾癬などの炎症性皮膚疾患がMSCなどの免疫抑制作用のある細胞療法によって抑制できるかどうか、乾癬マウスモデル(in vivo)や、ケラチノサイトとMSC等の共培養の実験系(in vitro)を用いて検証する。本年度は、情報収集ならびに、実験系の確立を行った。なおMSCは臍帯血由来のMSCを主に用いた。白人由来のヒトケラチノサイトの培養系を確立し、さらに、この培養系において、培養ケラチノサイトにIL-17やTNFαといった乾癬関連サイトカインを添加することで、CXCL1やCXCL8といった乾癬関連ケモカインが産生されることが確認できた。今後は、この確率した実験系にMSCを添加することで、これらのケモカインが減少するかどうかを検討する。また、動物実験に関しては、マウス耳介にIL-23を局所注射して乾癬皮膚を作成する実験系においてMSCとIL-23を混じたものを注射する実験を行い、実験系として動いていることを確認した。結果の解析は次年度に行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に実験系が確立したので、本年度は本実験ならびに結果の解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
MSCに関する進歩はめざましく、既にGVHDに対するMSC細胞の投与は本邦でも臨床応用が開始されて、既に確立したものになりつつある。そこで、細胞を直接投与だけではなく、MSC細胞が分泌した成分を投与するという方向性に変更することで研究の独自性を出していく変更も場合によっては必要になるかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
急激な円安や品薄などの理由により試薬代が値上がりしたため購入を見送った。
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次年度使用額の使用計画 |
値段を吟味しつつ、すみやかに試薬代として使用予定である。
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