研究実績の概要 |
乾癬は難治性慢性炎症性皮膚疾患である。ヒト間葉系幹細胞(MSCs)には免疫抑制作用があるため(Miyamoto S, Am J Transl Res 2017)Th17疾患の治療に応用できることが考えられている。我々は当初、臍帯血由来 MSCs を用いて検討を行っており、これらがマウス乾癬モデル(psoriasiform dermatitis , PsD)を加療できることを見いだしたが、先に他の研究者から類似の発表があった(Lee YS, Biochem Biophys Rep 2016; Sah SK, Antioxid Redox Signal 2016, Kim JY, J Tissue Eng Regen Med 2017)。今後の研究の計画としては、このまま帯血由来 MSCsで研究を続行しても上記のように既に他の研究者から論文発表があり新規性に欠けるため、MSCの種類をヒト羊膜由来 (hAMSCs)に変更する。我々が用いるhAMSCs は、ラットcolitisモデルで有効であることが既に示されているものである(Miyamoto S, Am J Transl Res 2017)。hAMSCs は羊膜に含まれるMSCの数が豊富なこと、元々医療廃棄物であるため侵襲的手技を必要としないといった、臨床応用がしやすいという他のMSCに無い利点がある。なお、ヒト乾癬患者へのMSC投与の有効性に関してはumbilical cord blood-derived MSC (Chen H. The American journal of medicine. 2016)や、Adipose-Derived MSC(De Jesus MM, Cell Transplantation, 2016)を用いた有効性が既に症例報告されており、この結果から類推するに、同様にhAMSCにおいても、ヒトの乾癬治療への応用が期待できる可能性も示唆されうる。
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