研究課題/領域番号 |
16K19742
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
大山 文悟 久留米大学, 医学部, 講師 (90461441)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 関節症性乾癬 / 患者血清 / エキソソーム |
研究実績の概要 |
乾癬は全身性炎症性皮膚疾患で、500-1000 人の割合で発症し、日本には約 10 万-20 万人の患者がおり、今後も患者は増えていくものと推定される。そのうち関節症性乾癬は皮疹に関節炎、脊椎炎、腱付着部炎などの関節症状を併発し、進行すると手指関節破壊などを生じ、患者の QOL は著しく低下する。 関節症性乾癬患者の QOL 向上のためには、早期診断ならびに治療効果判定のためのバイオマーカーの開発が望まれており、本研究では、関節症性乾癬におけるバイオマーカーの探索を目的とする。 久留米大学皮膚科では昨年から乾癬患者レジストリの構築を開始した。2017年3月末現在、323名が登録されており、病型は尋常性乾癬289名、関節症性乾癬23名、膿疱性乾癬13名、滴状乾癬5名、乾癬性紅皮症3名であった。 関節症性乾癬は23名のうち、内訳は男性17名、女性6名で、平均年齢は52.6歳(38-72歳)、皮膚症状から関節症状出現までの期間は平均9年(0-28年)で、4例(17%)は皮疹と関節症状が同時期に出現している。これまでの報告では、日本では乾癬患者の約 5%(文献によっては約 40%)に関節症性乾癬を合併すると考えられているが、本研究施設における関節症性乾癬は、当科で登録された全乾癬患者の7%であった。多くは皮膚症状が先行し、関節症状が出現するが、約 15%は皮膚症状と関節症状が同時に出現する。残りの約 15%で関節症状が先行するといわれているが、本研究では、関節症性乾癬患者23名のうち、17%が関節症状と皮疹が同時期に出現しており、これまでの報告と同様の結果となった。関節症状が先行した症例は本施設ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
患者検体の渉猟のために、本年度はまず当科を受診するすべての乾癬患者について、患者ID、生年月日、乾癬病型、治療内容をカルテにて確認した。 その結果、今後の患者検体の渉猟には乾癬患者レジストリ構築が必要と判断し、その構築に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度、乾癬患者レジストリ構築を行ったことで、今後の乾癬患者検体の渉猟を容易にすることが可能となった。 今後は、患者検体を採取し、の血清、病変皮膚からエキソソームを抽出し、miRNA 発現を、患者間、健常者と比較し最適条件について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
患者検体の渉猟のための乾癬患者レジストリ構築に時間を要したため。
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次年度使用額の使用計画 |
渉猟した乾癬患者の血清、病変皮膚からエキソソームを抽出し、miRNA 発現を、患者間、健常者と比較し最適条件について検討する。 更に、上記の最適化後に miRNA のマイクロアレイ分析を行い、クラスター解析にてターゲット遺伝子などの特定と機能解析を行う予定である。
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