研究課題
本年は安静時MEGデータの解析手法の確立するため、予備的に取得した健常者30例を対象にソースレベル解析を行い、global network解析、local network解析の確立に取り組んだ。global network解析を行うに当たって、Hippら(2012)の手法を参考にした。各個人のRawデータについて、ソースレベル解析を行い、20484部位のデータを得た。計算量を削減するため、固有値分解を行い、20484部位の時系列データを68部位のデータに代表させる処理を行った。各周波数帯域でバンドパスフィルターを行った後、Hilbert変換を行い、エンベロープを取得した。この過程でMEG解析特有の問題であるsource leakageを直交化により回避した。得られた各脳領域のエンベロープ組み合わせについて、ピアソンの相関係数を計算し、global networkのコネクティビティーの指標とした。結果、安定したコネクティビティー値を得るためには、ソースレベル解析を行う前の、前処理において独立成分分析を用いて、ECG、EOG、Jumpノイズをしっかり取り除くことが重要であることが確かめられた。また被験者全体での加算平均では、比較的安定したネットワークであるVisual network、Somatosensory network、Auditory networkについては、α帯域、β帯域を中心に左右対称にネットワークを形成している様子が観察された。またlocal network解析については、tortら(2010)の手法を参考にし、phase amplitude couplingをlocal networkの指標とした。後頭部を関心領域としたPACの計算では、α帯域の位相とγ帯域の振幅が高い結合をしていることが確認出来た。
2: おおむね順調に進展している
研究計画通り、本年度の課題であった健常者における安静時のネットワークの解析法について検討を行い、global network、local networkの結果について検証を行えたため。
健常者患者について、MEGデータの計測を実施し、平成28年度に確立したによる機能的コネクトームの評価法を用いて、local networkおよびglobal networkについての関連性について検討する。特にまだ健常者においても解明されていないlocal networkとglobal networkの安定性についての解明を目指す。対象は健常者40名とし、年齢、性差、Cambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB) で評価した認知機能、IQとの関連を検討する。
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