研究課題
本年は健常男性27名の安静時データについて、local networkおよびglobal networkとCambridge Neuropsychological Test Automated Battery (CANTAB) で評価した持続的視覚注意のパフォーマンスの関連について検討した。global network解析を行うに当たって、Hippら(2012)の手法を参考にした。各個人のRawデータについて、ソースレベル解析を行い、20484部位のデータを得た。計算量を削減するため、固有値分解を行い、20484部位の時系列データを68部位のデータに代表させる処理を行った。各周波数帯域でバンドパスフィルターを行った後、Hilbert変換を行い、エンベロープを取得した。この過程でMEG解析特有の問題であるsource leakageを直交化により回避した。得られた各脳領域のエンベロープ組み合わせについて、ピアソンの相関係数を計算し、得られた相関行列を元に視覚領域のDegree centrality (DC)を計算し、global networkのindexとした。local networkの指標としてPower spectral density (PSD)を用いた。持続的注意の指標として、RVP'A(反応の精度)と反応時間を用いた。結果としてDC、PSDとも10Hz、20Hzでピークを示した。これらのピークの値とVP'Aと反応時間の相関を調べたところ、DCがRVP'Aと反応時間の両方と相関する一方で、PSDでは相関を認めなかった。これらの結果から、効率的な視覚情報処理においては、脳局所におけるオシレーション活動の大きさよりは、視覚野と他の脳領域のコネクティビティーが重要であることが示された。
2: おおむね順調に進展している
研究計画通り、本年度の課題であった健常者のデータとCANTABで評価した認知機能との関連について検討を行えたため。
統合失調症患者について、MEGデータの計測を実施し、平成28年度に確立したによる機能的コネクトームの評価法を用いて、健常者と統合失調症患者のlocal network およびglobal networkの差異にについて検討する。このことにより統合失調症の脳局所/領域間ネットワーク病態について明らかにしていく。
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Eur J Neurosci.
巻: 6 ページ: 1-15
10.1111/ejn.13844
Front Psychiatry
巻: 8 ページ: 274
10.3389/fpsyt.2017.00274