研究課題/領域番号 |
16K19754
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
井桁 裕文 新潟大学, 医歯学総合研究科, 非常勤講師 (10751026)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 臨床精神分子遺伝学 / 統合失調症 / エクソーム解析 |
研究実績の概要 |
目的:本研究の目的は、近親婚の両親を持つ統合失調症罹患同胞家系のエクソーム解析を通じて、統合失調症の発症に大きな効果をもつ稀なリスク遺伝子を確定することである。 方法:対象は、統合失調症罹患同胞2人および非罹患者ではとこ婚である両親の計4人である。対象者の血液から精製したDNAサンプルを、SureSelect XT Human All Exon Kit V6を用いて全エクソンを濃縮させ、シークエンスライブラリーを作成した。これにタグ配列を付加した上で4サンプルを混合し、Hiseq2500システムを用いてエクソームシークエンスを実施した。これにより検出された変異に対し、1)シークエンス深度が10以上、2)遺伝形式が常染色体劣性、3)非同義変異、4)アレル頻度が5%未満、を条件としてフィルタリングを行った。 結果:エクソーム解析によって計213,038個の変異が検出された。フィルタリングによって、HEBP2遺伝子R140Q変異(rs3734303)およびUPK2遺伝子R152C変異(rs137900462)が候補リスク変異として同定された。 意義:近親婚の両親を持つ統合失調症罹患同胞家系のエクソーム解析により、HEBP2遺伝子R140Q変異およびUPK2遺伝子R152C変異のホモ接合が、統合失調症の発症に大きな効果をもつ可能性が示唆された。これらの変異が統合失調症の発症に大きな効果量をもつリスク変異であることを確認するため、今後症例・対照サンプルを用いた大規模関連解析を多施設共同研究にて実施する予定である。これにより統合失調症のリスク変異であることが確定されれば、統合失調症の病態を解明するための分子基盤が得られる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、はとこ婚の両親を持つ統合失調症罹患同胞2人を含む家系についてエクソーム解析を実施し、候補リスク変異を同定できたことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
エクソーム解析により同定した2つの候補リスク変異(HEBP2遺伝子R140Q変異、UPK2遺伝子R152C変異)について、大規模関連解析を実施する。これにより、統合失調症との関連が確認されれば、当該リスク遺伝子のリシークエンスを行い、稀な変異を網羅的に検索する。検出された稀な非同義変異については、さらに大規模関連解析を行い統合失調症との関連を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソーム解析の外部委託費などに使用したが、経費の節約により端数が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
大規模関連解析やリスク遺伝子リシークエンスに使用する消耗品費、研究成果を発表するための旅費、論文投稿する際の英文校正費として使用する予定である。
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