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2016 年度 実施状況報告書

うつ病モデルにおける脳糖代謝異常のメカニズム解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K19758
研究機関浜松医科大学

研究代表者

亀野 陽亮  浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (40537255)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードラット / FDG / PET
研究実績の概要

うつ病の糖代謝に関するPET研究では島、大脳辺縁系、基底核で低下しているという報告が多い(Su et al, 2014)。また、うつ病の脳血流に関するPET研究では一貫した見解が得られておらず、脳糖代謝の変化とも一致しないことが多い (Dunn et al, 2005)。一般に、健常者や双極性障害では脳糖代謝と脳血流は均衡関係にあるが、うつ病では両者の間に不均衡が起きている (Drevets et al, 2000)。そのため、脳血流-糖代謝不均衡の機序を明らかにすることでうつ病の病態生理の解明に寄与する可能性が高く、さらにうつ病のバイオマーカーとなる可能性もある。一方、SSRIなどの抗うつ薬は脳糖代謝や脳血流に影響を及ぼし、SSRIに反応する群では背外側前頭前野の脳糖代謝が上昇し (Kennedy et al, 2001)、帯状回の脳血流が増加する(Joe et al, 2006)。一方、脳はアストロサイトを介してエネルギー源であるブドウ糖を血液中から取り込んでいる。また、最近の死後脳研究によると、うつ病ではアストロサイトのEndfeetが約50%減少し、脳血管内皮細胞の被覆率が低下しているという報告がある (Rajowska et al,2013)。その結果、うつ病では脳糖代謝の低下を来している可能性が指摘されている。また、SSRIはアストロサイトに直接作用することがかねてより指摘されてきた (Czeh & Benedetto, 2013)。
そこで、本研究では、強制水泳モデルを用いて脳血流-糖代謝の不均衡を確認する。続いて、Endfeetにいかなる変化が生じるのか、また、その変化は抗うつ薬によって修復されるのかを検討する。そして、うつ病の病態解明に寄与すると共に、アストロサイトを標的とした新しい治療法開発に向けて基礎データを得ることを目指している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は脳血流解析群(n=20)とそのコントロール群(n=20)、脳糖代謝解析群(n=20)とそのコントロール群(n=20)を用いて脳血流と脳糖代謝の不均衡を調べる予定であった。しかし、脳糖代謝が前頭前野と視床で有意に低下しているという予備研究の所見と一致していない。
一方、当該研究の予備研究については論文化することができた。
そのため、(3)やや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

個体数を増やし、有意差が得られるかどうか検討する。その上で、免疫組織学的染色を行い、脳組織の形態学的変化を確認する。さらに、SSRIを投与し、その所見が変化するか否か検証する。

次年度使用額が生じた理由

これまでの実験では予備研究で得られていた前頭前野、視床での脳血流-糖代謝不均衡が確認できていない。理由として個体数も十分に重ねることができなかったことが考えられる。

次年度使用額の使用計画

次年度に使用額を持ち越し、個体数を増やす予定である。その際、高額なトレーサーを使用するため研究資金を持ち越す必要がある。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Mismatch in cerebral blood flow and glucose metabolism after the forced swim stress in rats.2016

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Kameno
    • 雑誌名

      Acta Neuropsychiatrica

      巻: 28 ページ: 352-356

    • DOI

      10.1017/neu.2016.24

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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