研究課題
ヨーロッパの大規模GWASで、健常者の血漿ピリドキサール濃度に影響を与えると報告されたrs4654748について、徳島大学で収集したサンプル (健常者911名、統合失調症患者365名)を用いて、血漿ピリドキサール濃度との関連解析を行った。線形回帰分析を行い、統合失調症患者は健常者に対して有意に血漿ピリドキサール濃度が低下していることを示した。rs4654748遺伝子型と性別にわけた層別解析も行い、全てのカテゴリーにおいて、統合失調症患者では有意に血漿ピリドキサール濃度が低下していることを示した。しかしrs4654748遺伝子多型と統合失調症リスクとの有意な関連は、日本人サンプルを用いたメタ解析でも示すことができなかった。最後に、血漿ピリドキサール濃度低下と統合失調症リスクの因果関係を、メンデル無作為化解析を用いて推定したが、日本人サンプル、既報海外論文のデータを用いた大規模サンプル双方ともに、有意な因果関係は推定できなかった。なお、この研究成果はJournal of Psychiatry and Neuroscienceに掲載予定である。血漿葉酸濃度については、同じくヨーロッパの大規模GWASで、健常者の血漿葉酸濃度に影響を与えると報告されたrs1999594について、徳島大学で収集したサンプルを用いて関連解析を行った。線形回帰分析を行い、統合失調症患者は健常者に対して有意に血漿葉酸濃度が低下していることを示した。rs1999594遺伝子型にわけたANCOVAも行い、全てのカテゴリーにおいて、統合失調症患者では有意に血漿葉酸濃度が低下していることを示した。既報論文を含めたメタ解析を行い、統合失調症では、健常者に比べて有意に血漿葉酸濃度が低下していることも明らかにした。この研究成果についても現在論文執筆中である。
すべて 2018
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J Psychiatry Neurosci.
巻: 43 ページ: -
10.1503/jpn.170053