研究課題/領域番号 |
16K19777
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
志賀 哲也 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90612713)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミスマッチ陰性電位 / オキシトシン / 統合失調症 / 事象関連電位 |
研究実績の概要 |
進行性に認知機能低下をきたす統合失調症の治療において、近年オキシトシン点鼻薬による治療が患者の社会機能、表情認知、臭覚識別機能を改善させると言われている。また、ミスマッチ陰性電位(Mismatch Negativity : MMN)という事象関連電位(Event-Related Potential : ERP)は、この疾患の認知機能低下を鋭敏に反映すると考えられている。本研究の目的はオキシトシン点鼻薬による治療による、聴覚ミスマッチ陰性電位への改善効果を明らかにすることにある。 初年度は主に健常者を対象にして、オキシトシン点鼻薬投与前後の事象関連電位測定を行った。対象者はオキシトシン投与群とプラセボ投与群の2群に無作為に割り付けられ、点鼻薬投与直前および直後にオッドボール課題による事象関連電位測定が行われた。本研究は福島県立医科大学倫理委員会の承認を得ており、全ての被験者に対して文書で説明を行った上で、同意を得た。得られた事象関連電位は加算平均処理され、逸脱音に対する事象関連電位から標準音に対する事象関連電位を引いた差分平均を描出。刺激後100~200msの陰性方向のピークをミスマッチ陰性電位とし、各対象者のミスマッチ陰性電位の振幅と潜時が求められた。 その結果、オキシトシン点鼻薬投与後のMMNの振幅増大も示唆された。 また、本研究では全ての対象者には事象関連電位測定の他に、点鼻薬投与前後に表情認知検査(Facial Emotion Selection Test : FEST)も評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は主に健常者に対してオキシトシン点鼻薬投与前後のミスマッチ陰性電位測定を行った。概ね初年度に予定していた対象人数の測定を行い、事象関連電位を加算平均してミスマッチ陰性電位が明瞭に描出されていることも確認している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、健常者に対してオキシトシン点鼻薬投与前後のミスマッチ陰性電位測定を行う。 また、年齢と性別をマッチさせた統合失調症患者にも同様の刺激パラダイムを用いて点鼻薬投与前後のミスマッチ陰性電位を測定する。 得られた結果をもとに、健常者と統合失調症患者でオキシトシン点鼻薬による聴覚自動識別機能への効果を判定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に購入予定であった電極システムの購入計画が遅れたため、平成29年度での購入を予定している。
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次年度使用額の使用計画 |
電極システムの購入に充当することを計画している。
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