研究課題/領域番号 |
16K19778
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中前 貴 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50542891)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 強迫性障害 |
研究実績の概要 |
本研究では、強迫症/強迫性障害(obsessive-compulsive disorder: OCD)患者に対して反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)を実施し、その有効性を調べるとともに、治療前後に頭部MRIを撮像して比較することで、その効果メカニズムを解明するとともに、効果予測因子を抽出することを目的としている。 2016年度に行った、OCD患者に対する rTMSの文献的考察をもとに、2017年度には「強迫症に対するニューロモデュレーション」と題した総説を執筆した。OCDに対してrTMSを実施する際に、背外側前頭前皮質、眼窩前頭皮質、補足運動野が主な刺激部位となっているが、現時点ではどの刺激部位が最適かは結論付けることができず、さらなる知見の蓄積が必要と考えられた。 そのため、研究計画の一部を変更し、無投薬のOCD患者にを対象に、OCDに対する第一選択の治療である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による薬物療法を12週間行い、その治療前後での脳画像所見の変化を調べ、rTMSを実施するにあたって最適な刺激部位の同定につなげる研究を実施し、データ収集を行った。 これと並行して、既存のデータベースを用いた脳画像解析を行った。OCD群と健常群の拡散強調画像を、TRACULA (TRActs Constrained by UnderLying Anatomy)と呼ばれる、脳内の主要な白質線維を自動的にトラクトグラフィーで描出する解析手法を用いて比較したところ、OCD群における帯状束の異常が見出され、その結果を海外雑誌に投稿し、受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OCDに対するrTMSの最適な刺激部位についてさらなる検討が必要と考えられ、研究計画の変更を行ったため。
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今後の研究の推進方策 |
OCDに対する標準的治療の前後での比較研究を行い、どの部位が治療効果に最も関わっているかを調べることで、rTMSを実施するうえで最適な刺激部位の同定を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は研究計画を一部変更し、文献的考察や、既存のデータベースを使用した画像解析を主に行ったため、研究費の執行が少なく次年度使用額が生じた。 OCDに対する標準的治療の前後での比較研究を継続し、適宜研究対象者をリクルートし、MRIの撮像費などにあてる。
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