研究課題
本研究では、強迫症/強迫性障害(obsessive-compulsive disorder: OCD)患者に対して反復経頭蓋磁気刺激療法(repetitive transcranial magnetic stimulation: rTMS)を実施し、その有効性を調べるとともに、治療前後に頭部MRIを撮像して比較することで、その効果メカニズムを解明するとともに、効果予測因子を抽出することを目的とした。本研究の実施期間に、OCDに対するrTMSの有効性を検討したメタアナリシスが複数発表された。また、従来のTMSに比べてより深部の脳領域を刺激することのできるdeep TMSと呼ばれる治療が、2018年8月に米国FDAによって承認されたことをうけ、最適な刺激部位について考察し、2018年度に「強迫症(強迫性障害)に対するrTMSの有用性」と題した総説を執筆した。また、第40回日本生物学的精神医学会・第61回日本神経化学会大会 合同年会にて、 “Neuromodulation for obsessive-compulsive disorder.” と題した発表を行い、専門家らと議論を交わした。OCDに対してrTMSを実施する際に、背外側前頭前皮質、眼窩前頭皮質、補足運動野が主な刺激部位となっているが、現時点ではどの刺激部位が最適かを結論付けることができず、さらなる知見の蓄積が必要と考えられた。これらの文献的考察と並行して、既存のデータベースを用いた脳画像解析を行った。OCD群と健常群の拡散強調画像を、TRACULA (TRActs Constrained by UnderLying Anatomy)と呼ばれる、脳内の主要な白質経路を自動的にトラクトグラフィーで描出する手法を用いて解析したところ、OCD群における大鉗子と帯状束の異常が見出され、その結果を海外雑誌にて発表した。
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精神科
巻: 34 ページ: 印刷中
老年精神医学雑誌
巻: 29 ページ: 41-46
Neuropsychiatric Disease and Treatment
巻: Volume 14 ページ: 1635~1643
https://doi.org/10.2147/NDT.S164058