ラモトリギン(LTG)誘発性皮膚障害の発症を予測する遺伝的因子が同定できれば、LTG治療の質の向上に繋がると考え、LTG誘発性皮膚障害に関連する遺伝子多型同定を目指して研究を遂行した。 昨年度(H28年度)、LTG誘発性皮膚障害(ケース)群・投与コントロール群(トレラントコントロール)群を用いてHLA遺伝子多型のジェノタイピングを行い、HLA関連解析を行った。その結果、一つのHLA alleleとLTG誘発性皮膚障害との間にmarginalに有意な関連を見出した。この結果を受け、本年度(H29年度)はこの関連を、明確にすることが喫緊の課題であった。ケース群・トレラントコントロール群のサンプル数を拡大し、不足する検出力を上昇させ解析を行うことによりこの関連を明らかにできると想定した。そのため本年度はケース群・トレラントコントロール群のサンプル数拡大に注力した。またLTG誘発性皮膚障害発症には、LTG投与量やバルプロ酸Na併用などの環境リスク因子が関与することが明らかであるため、このHLA alleleとの関連をより明確化するためには、環境因子と遺伝的因子によるgene environment interactionを加味した解析が必要であると想定した。そこで本年度は不足していたこれらの環境因子の臨床情報の収集も行った。本年度は新規ケース群10例(昨年度分を合わせて新規20例)、新規トレラントコントロール群10例(昨年度分と合わせて新規20例)を収集しており、HLA遺伝子多型のジェノタイピングを適宜遂行してきた。今後更に、LTG投与量、併用薬の臨床情報を具備したサンプル収集を行い、サンプル数を拡大し検出力を上昇させた上で、gene environment interactionを考慮した解析を行い、LTG誘発性皮膚障害の遺伝的リスクの同定を行う。
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