研究課題/領域番号 |
16K19791
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
松田 真悟 昭和薬科大学, 薬学部, 助教 (80723246)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 恐怖消去 / 神経回路 |
研究実績の概要 |
外傷後ストレス障害(PTSD)やパニック障害など恐怖記憶と関連のある精神疾患の治療法の一つに曝露療法がある。曝露療法は世界中で広く用いられているが、未だに治療期間を決めるための客観的な指標はない。本研究は治療期間を決めるための客観的な指標の確立に向け、曝露療法の動物実験モデル(恐怖消去トレーニング)を用いて、恐怖記憶の再燃予防を担う神経回路の解明を試みている。その中で、本年度の目的は2つあり、1つ目は恐怖記憶の再燃予防に関わる脳領域候補を薬理学的手法によって破壊し、恐怖記憶・恐怖消去・恐怖記憶の再燃に対する影響を明らかにすること、2つ目は恐怖記憶の再燃に影響があった脳領域の神経投射元を明らかにすることであった。 まず、イボテン酸による脳領域破壊実験系の導入を行い、これに成功した。続いて、複数ある脳領域候補のうち、扁桃体内側核(MeA)は恐怖記憶には影響を及ぼさないが、恐怖消去を阻害し、また、恐怖記憶の再燃を強めることを示唆する結果を得た。加えて、別の候補領域である扁桃体基底外側核後部(BLAp)を特異的に破壊するための条件検討を終えた。さらに、逆行性トレーサーであるフルオロゴールドによる神経投射元解析法の導入を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
所属機関の動物舎で約1か月間の改修工事があった。我々の実験プロトコールは1か月かかるため、実質約2か月間実験ができなかったことが研究の進捗を遅らせた理由として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
BLApを破壊し、恐怖記憶・恐怖消去・恐怖記憶の再燃に対する影響を明らかにする。これに加え、BLApのへの神経投射元をトレーサーによって明らかにする。 一方、MeAは投射元が明らかになっているため、当初計画にあるように遺伝子工学を用いた神経細胞活動の制御法を利用し、恐怖消去トレーニング中に限定してMeAの活動性を抑制し、恐怖消去の阻害および恐怖記憶の再燃の増強を試みる。BLApは神経投射元を明らかにした後でMeAと同様、恐怖消去トレーニング中に限定して活動性を抑制し、恐怖消去の阻害および恐怖記憶の再燃の増強を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の動物舎で工事があり、実験が出来なかったため本年度の使用額が予算額を上回る結果となった。従って、翌年度に本年度実施できなかった実験分を行う必要があり、そこに次年度使用額を用いる。
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