研究課題
1. 低酸素癌を標的としたスポットスキャニング陽子線治療のシミュレーション1-1 頭頸部癌以外の患者(肝臓癌・肺癌・脳腫瘍患者)における治療前FMISO-PET画像の解析:今回、頭頸部癌・肝臓癌・肺癌・脳腫瘍患者に対して、過去のFMISO-PET画像の収集及び、画像解析ソフト・放射線治療計画装置への入力が行われた。再発などの予後に関する解析を施行し、FMISO-PETの閾値に関する検討を行った。特に、実際にスポットスキャニング陽子線治療が行われた患者に関しては、その線量分布と病変の変化が解析され、副作用と再発に関しても検討が行われた。1-2 スポットスキャニング陽子線治療のシミュレーション方法の確立:低酸素癌を標的としたスポットスキャニング陽子線治療のシミュレ-ションを行う環境を構築した。放射線治療計画CTとFMISO-PET画像を重ね合わせ、腫瘍内部の低酸素領域を同定し、標的として定める一連の流れを確立した。この標的に関する情報をスポットスキャニング陽子線治療シミュレーション装置に入力し、当施設の医学物理士の協力のもと、低酸素領域に線量を増加させるスポットスキャニング陽子線治療のシミュレーションを開始した。2. 低酸素癌や難治性癌の放射線感受性に関する実験:低酸素癌や難治性癌の放射線感受性に関し、低酸素状態における放射線線量増加の効果や併用薬の効果について、当分野のNAM Jin Min特任助教とディスカッションを行った。大学院生も交えて、in vitroでの実験系が複数回検討された。
2: おおむね順調に進展している
初年度に関しては、機器の購入、実験環境の構築、関連教員との協力関係の構築などに費やしている。機器のセットアップが終了し、腫瘍の低酸素領域を同定し標的として定める一連の流れを確立している。これらは概ね予定通りである。
スポットスキャニング陽子線治療のシミュレーション、及びIMRTとの比較を進めていく。スポットスキャニング陽子線治療計画には想定よりも時間が多くかかり、また医学物理士の協力が必要となる。計画的に進めていく必要がある。低酸素癌や難治性癌の放射線感受性に関する実験では、引き続きNAM特任助教との相談をすすめ、in vitroの実験を開始する。
放射線治療計画計画システムの購入、及びそのセットアップを今年度は優先した。in vitroの実験系に関してディスカッションを進めているが、物品購入までには至っていない。この分が次年度使用額となっている。
in vitroの実験に使用する物品を次年度に購入する計画である。
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