研究課題
3. X線によるIMRTのシミュレーション及び陽子線治療との比較昨年に引き続き低酸素癌を標的としたスポットスキャニング陽子線治療のシミュレーションを行った。計10例においてターゲットへの線量増加シミュレーションを完了した。引き続き同じCT、FMISO-PET、標的およびリスク臓器のデータ等を用いて、X線によるIMRTのシミュレーションを同じ10例で実施した。副作用評価はdose-volume histogram(DVH)を用いたリスク臓器線量で行った。線量の差が与える影響について、normal tissue complication probability (NTCP)モデルを用いた副作用発生率の比較が重要と考えられたため、これを用いた比較も実施した。近年においては線量増加だけではなく、予後良好なサブグループに対する線量低減も、副作用低減の観点から、重要な治療戦略として議論されている。スポットスキャニング陽子線治療におけるFMISO-PETを用いた線量低減の実施可能性、有用性に関しても重要な検討項目と考えられ、そのシミュレーションも追加で行うこととした。低酸素癌には標準線量を投与しつつ、それ以外のリスクが低い領域には線量を低減させるシミュレーションを開始し、環境構築、条件設定を行った。さらに、FMISO-PETによる低酸素癌を標的とした放射線治療の理論的根拠となる、FMISO-PETの集積の強さと再発位置との関連性についての検討を行った。最終的に論文としてまとめ、Radiation Oncologyにて公表された。4. 低酸素癌や難治性癌の放射線感受性に関する実験実際に機器を購入し、in vitroでの実験系を検討中である。NAM Jin Min特任助教と大学院生を交えてのディスカッションが継続的に行われている。
2: おおむね順調に進展している
2年目に関しては、低酸素癌を標的としたスポットスキャニング陽子線治療のシミュレーションの実施が予定通り行われた。線量増加のみならず、線量低減に関する検討も加え、より広い視点での研究の道筋が立っている。これらは概ね順調と考えられる。
臨床で用いられるシミュレーション装置を本研究に使用しているため、臨床の空き時間に研究行う必要がある。現場の技師・医学物理士とよくコミュニケーションをとり、最も効率のよい方法で研究を進める必要がある。最終年度となるため、結果をまとめる準備に取りかかり、学会発表などを目指す。
今年度はほぼ計画的に予算を使用した。約2万円ほどの次年度使用額がでたが、次年度物品等で使用される予定である。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Radiation Oncology
巻: 12 ページ: 148-148
https://doi.org/10.1186/s13014-017-0886-9
JSMI Report
巻: Vol. 10 ページ: 29-32