研究課題
腫瘍内に形成する低酸素領域は、腫瘍の悪性化、治療抵抗性等に関与することが知られており、本領域をより詳細に評価することが求められている。腫瘍内低酸素領域の評価方法として、2-nitroimidazoleを母体骨格に有する薬剤を用いた画像診断法が注目されているが、低酸素環境下細胞への集積機序については不明であった。研究代表者らは平成29年度までに、2-nitroimidazoleを母体骨格に有する薬剤(18F-FMISO)が低酸素環境下細胞内にて還元代謝を受けた後、グルタチオン抱合体を形成して滞留することを見出すとともに、同一低酸素環境下においても、細胞内グルタチオン抱合体関連因子(還元型Glutathione(GSH)、Glutathione S-transferase(GST)、Multidrug resistant protein 1 (MRP1))の発現量・活性度に伴い18F-FMISOの集積量が変化することを見出してきた。平成30年度は本知見を基に、マクロファージの極性化状態と18F-FMISOの集積量との関係性について評価した。その結果、未分化のマクロファージと比べてM2マクロファージでは高集積、M1マクロファージでは低集積することを見出した。また、M1マクロファージではGSTP1およびMRP1が高発現していることを見出した。以上の知見より、18F-FMISOによる組織内低酸素評価において、マクロファージの極性化状態を考慮する必要があることが示唆された。
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Annals of Nuclear Medicine
巻: in press ページ: in press
10.1007/s12149-019-01332-1
YAKUGAKU ZASSHI
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