研究課題/領域番号 |
16K19802
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
李 麗 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90769960)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小児がん / 放射線治療 / 遅発性認知機能障害 / MRI / 脳微細構造変化 |
研究実績の概要 |
小児がんのために脳に放射線治療を受けた患者に遅発性認知機能障害が生じることが明らかとなり、重大な問題となっている。一方、放射線の生物影響に関する研究は、細胞死、発がん、遺伝学的変化に関するのもがほとんどで、放射線による認知機能障害の病態機構や治療法に結びつく研究は国内国外を問わずほとんどない。 認知や記憶などの神経活動は、神経細胞から延びる神経線維が複雑に繋がることで形成された神経回路によって制御されている。このため、何らかの原因(例えば、放射線照射)による白質の脱髄、変性、再構築が、認知機能障害の一因になる可能性がある。また、脳微小循環障害、特に認知機能や記憶の中枢として知られる側頭葉の血流障害も認知機能障害の一因であると推測されている。近年、高磁場やMRI装置や技術の急速な進歩に伴い、従来からの形態画像のみならず機能的画像による脳微細構造変化の評価が可能になってきた。本研究は、MRI機能的画像による照射脳の微細構造変化を解析し放射線照射後の晩期認知機能障害の病態解明し、体系化した画像診断基準とリスク診断法の確立を目指す。 平成28年度は小児頭蓋内胚細胞腫瘍放射線照射後の患者のMRI拡散テンソル画像、MRI非造影灌流画像、認知機能テストのデータ収集をおこなった。先行研究の研究成果「T2*強調画像による照射脳の微小血管損傷」は、第75回日本医学放射線学会総会 CyPos賞 (Bronze Medal) を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
①患者症例の登録、MRI機能画像データの収集、認知機能テストデータの収集は継続する。 ②MRI画像解析の実施に必要な3D可視化解析システムおよびワークステーションを購入する。 ③25例程度のデータが蓄積されると、それらのデータを用いた第一次データ解析をおこなう。 ④解析の結果により撮像条件や関心領域、および画像解析法の妥当性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外モデルの高性能ワークステーションをオーダーメードし、取り寄せしているので、予想以上に時間がかかってしまい、年度末までに納品が間に合わなかった。このワークステーションにインストール予定の3D/4D可視化画像解析用ソフトウェアも本年度5月にニューバージョンが出る予定なので、高性能ワークステーション納品時に購入するほうが望ましいと考えた。以上の理由により納品が遅延してしまいました。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度でワークステーションと3D/4D可視化画像解析用ソフトウェアを購入するために使用する。
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