研究課題
原発性悪性脳腫瘍は浸潤性に発育し、外科的切除や放射線化学療法を駆使しても、腫瘍制御が難しい疾患である。腫瘍制御において癌幹細胞(Cancer stem cell; CSS)が注目されている.しかしながら、癌幹細胞は放射線化学療法に抵抗性で外科的切除しか細胞を排除する手段がない。一方、メトホルミンが癌幹細胞の不活化させるという報告がある.これは癌幹細胞活性に細胞外グルコース濃度が重要な役割を果たすためである。癌幹細胞は腫瘍内の高糖代謝領域に存在している可能性が高いかもしれない。糖代謝を評価する方法としてFDG-PETがあるが,我々はより詳細に腫瘍内の糖代謝を反映する方法が必要であると考えた。そこで、“FDG/Methionine index PET imaging”を作成し,脳腫瘍内のアミノ酸高代謝領域よりも高糖代謝を示す領域を評価することが必要であると考えた。本研究の目的はFDGの集積をMethionineの集積で比を取る“FDG/Methionine index PET imaging”を考案し、脳腫瘍バイオマーカーとしての有用性を明らかにすることである.我々は過去、当施設で術前精査としてFDG-PETおよびメチオニンPET(MET-PET)の両方が施行された脳腫瘍症例に対して、FDG/MET index PET imagingを作成し、そのSUVを測定し、脳腫瘍のWHO gradeおよび予後に関して検討し、FDG/MET index PET imagingのバイオマーカーとしての有用性を明らかにする。
2: おおむね順調に進展している
原発性脳腫瘍の術前精査としてFDG-PETとMET-PETの両方が施行された22例に対して、FDG/MET index PET imagingを作成した。得られた画像の腫瘍部分のSUV値を測定し、FDG/MET index PET imagingのSUV値と脳腫瘍のWHO gradeとの相関および予後との相関を検討した。FDG/MET index PET imagingと脳腫瘍のWHO gradeに関しては正の相関が確かめられたが、予後との関連に関してはまだ経過観察期間が短く、まだ確かめられていない。
今後は検討症例数を増やし、同様にFDG/MET index PET imagingとWHO gradeとの相関を検討する。予後の検討に関してはまだ経過観察期間が短かったと考えられ、経過観察期間を延長し、FDG/MET index PET imagingと予後との関連について明らかにする。
研究に使用するパソコンおよび統計ソフトがまだ使用可能で、次年度に購入しようと考えたため。
パソコンおよび統計ソフトを購入予定
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Neurol Med Chir(Tokyo)
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