研究実績の概要 |
限局型自己免疫性膵炎(focal AIP)と膵癌切除症例に対して、CT,MRI,FDG-PETといった画像所見と切除標本の画像病理の対比検討を行い、それぞれの画像所見の差異を背景病理所見の差異に基づいて明らかにすることを目的に研究を行った。 1. 平成28年度の計画として研究対象となるfocal AIP,膵癌それぞれの切除例の症例集積(目標症例数各50症例)およびデータベースの作成を行った。膵癌切除例に関しては金沢大学および関連施設より目標症例数を集積することができた。またfocal AIPに関しては目標症例数のうち約25症例の集積が終了した。残りの症例修正集積に関しては現在金沢大学関連施設の病理データベースを使用し、引き続き症例集積を行っている。 2. すでに集積の終了した症例に関しては各症例の術前画像検査(匿名化DICOM data)および病理スライドの収集を開始しており、病理スライドに関しては病理部の協力により、バーチャルスライドのとしてデジタル化を開始した。 3. またAIP症例の画像所見に関してさらに知見を広めること、画像病理比較の手法(線維化の分布の評価やAIP病理所見の評価方法)を習得するため、平成28年7月から平成29年3月までMayo Clinic放射線科(Rochester, USA)に留学を行い、約100例程度のAIPの画像のreviewならびに30例程度のAIP切除例の病理所見のreviewを行い、AIPの画像所見、病理所見の理解を深めた。 現状において平成28年度はfocal AIP,膵癌切除例とも予定通りの症例収集が進められ、データベース化、画像検査、病理標本の収集も始めることができた。またその過程において下記論文の発表、関連学会におけるシンポジウムにて発表を行った他、和文雑誌にも関連項目の執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は平成28,29,30年度の3年間での計画であり、初年度である平成28年度に関してはfocal AIP、膵癌切除例の症例集積、データベース化が研究の中心となっていたが膵癌に関しては既に目標症例数に達し、画像検査の収集や病理スライドのバーチャル化といった過程に関しても開始することができている。またfocal AIPの切除例に関しては画像システムからの検索では目標症例数には達していないものの、今後病理システムからの検索により、さらに症例集積が進められる見通しが立っている。またfocal AIPに関しても集積された症例に関しては既に画像検査の集積や病理スライドのバーチャル化が進んでいる。さらにもしfocal AIP切除例の収集が金沢大学および関連施設のみで不十分であった場合に備え、当科教授蒲田敏文を通じ、本邦他大学への症例協力の呼びかけも行っており、目標症例数の集積は可能となる見通しが立っている。
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