研究実績の概要 |
本研究は、光音響イメージング法を用いて生体内臓器描出、腫瘍内微小構造の描出、血管機能(バリアー機能ならびに成熟性)を評価することである。平成29年度には、インドシアニングリーンを用いた光音響イメージングの腫瘍血管評価の為の研究として、論文発表を行った。 Okumura K, Yoshida K, Yoshioka K, Aki S, Yoneda N, Inoue D, Kitao A, Ogi T, Kozaka K, Minami T, Koda W, Kobayashi S, Takuwa Y, Gabata T. Photoacoustic imaging of tumour vascular permeability with indocyanine green in a mouse model. Eur Radiol Exp. 2018;2(1):5. doi: 10.1186/s41747-018-0036-7. 平成30年度は、更にこの実験を進め、各種の腫瘍組織においてのICGの血行動態の把握を行った。Lewis lung carcinoma腫瘍株モデルでは腫瘍内のICGの血行動態把握が比較的容易に行えたが、B16メラノーマ細胞では、腫瘍内の光音響シグナルの検出が難しかった。これは腫瘍内のメラニン量が多くこれが光音響イメージングに影響を及ぼしたと考えられる。VEGF阻害剤による腫瘍血管からのICGの血管からのleakは論文の如く評価可能であり、その後の腫瘍細胞の縮小をいち早く検出する事ができた。その後、放射線治療やその他の抗腫瘍薬剤も考慮したが、今年度内には達成はできなかった。 最終的に、本研究課題の研究において、インドシアニングリーンの血管内投与を用いた光音響イメージングは各臓器での血管透過性の評価に用いる事ができ、また腫瘍内においても濃度依存性を示し定量可能であり、腫瘍における抗腫瘍薬による血管透過性の低下を検知し、その後の腫瘍細胞の縮小をいち早く予測できると考えられた。
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