アミノレブリン酸投与時の腫瘍におけるプロトポルフィリンIX蓄積量を評価する画像診断法の開発を目的に、新規フッ素-18標識PETプローブの開発研究を行った。平成29年度までに、研究開始当初設計した[F-18]FLAの標識前駆体および非放射性標品の合成、高放射化学収率で安定的にF-18標識体が得られる標識合成方法の確立を達成したが、in vitro腫瘍細胞取り込み試験およびin vivoイメージング実験より、[F-18]FLAがアミノレブリン酸とは異なる機序により腫瘍細胞へ取り込まれ、プロトポルフィリンIX蓄積量を評価する画像診断に必要な生体内における腫瘍集積性と集積特異性を持たないことが示された。 最終年度 (平成30年度) には、アミノレブリン酸と同様の機序による腫瘍細胞への取り込みを期待して新たに設計した[F-18]FMALAの標識前駆体と非射性標品の合成および標識合成検討を行った。セリン誘導体を原料に用いた5ステップの反応により、反応中間体としてF-18導入部位に水酸基を有するMALA-OHを得た。MALA-OHの水酸基を脱離能の高い官能基に置換し、[F-18]フッ化物イオンと反応させたが、目的とするF-18標識体は得られなかった。現在、[F-18]フルオロメチル化反応による[F-18]FMALAの標識合成法の検討を行っている。[F-18]FMALAの標識合成法確立後、[F-18]FMALAのアミノレブリン酸投与時の腫瘍におけるプロトポルフィリンIX蓄積量を評価するF-18標識PETプローブとしての可能性を、細胞実験および動物実験により評価する予定である。
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