研究課題/領域番号 |
16K19818
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
椋本 成俊 神戸大学, 医学部附属病院, 特命技術員 (70634278)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マイクロビーム / 放射光 / 耐容線量 / SPring-8 / 超高線量率X線照射 / 定位放射線治療 |
研究実績の概要 |
近年、高精度放射線治療として、脳腫瘍などに対する定位放射線治療が盛んに行われている。定位放射線治療では照射時間の短縮を目的として高線量率の照射が行われている。しかしながら、局所的超高線量率X線照射が生体に与える影響は不明な点が多い。本研究では大型放射光施設(SPring-8)から供給される放射光を用いてビーム径25μmから数mmの高精細照射を多方向から組み合わせ腫瘍本体に超高線量を収束する照射法を開発し、難治悪性腫瘍に対する新たな治療戦略の基礎とすべく、腫瘍組織への反応・正常組織有害事象の両面から最適な照射線量やビーム径等を検討した。 放射光ビームをビーム径25μmとし、マウスの脳に対し多方向から照射するマウスの回転型定位固定具を開発した。放射光施設(SPring-8)のマシンタイムの関係上実際の照射は平成29年度に行うこととなったが、これまでのスリット状照射の耐容線量の評価と同様に通常の放射線治療では想像できない高線量が照射可能になるものと推測している。同時に腫瘍組織への反応も評価できるよう、移植腫瘍等に関しても順次準備を進めている。さらにマイクロビームX線に関する物理学的特性の検討に関しても順次準備を進めており、今後は臨床で主として利用されるメガボルトX線でこのような照射を行った場合のシミュレーションに関しても検討を行いたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
放射光施設(SPring-8)のマシンタイムは限られており、特にSPring-8は世界の放射光施設と比較して高エネルギーでの電子の加速が可能であり日本のみならず世界各国から実験申請がなされている。課題採択倍率は2倍程度であり、使用するビームラインによってはそれ以上の倍率になることもしばしば見受けられる。そんな中、一度に多くの評価ができるよう数種類の評価を並行して行ってはいるが、若干の計画の遅れが発生している。
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今後の研究の推進方策 |
正常組織への評価および腫瘍組織への評価が並行して実施できるよう当初の予定を一部前倒しをして実験を行っている。今後も継続的なマシンタイムの獲得に向け、研究申請を並行して行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
放射光施設のマシンタイムが得られなかったため、物品購入費が当初の予定より減額となった。移植細胞の管理などで実験助手を雇用し、人件費が若干多くなっているが次年度の実験を遅滞なく進めることが可能であると考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
放射光施設への旅費で使用できる残額であり、使用する予定である。
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