研究課題
本研究の目的は、我々が原理を考案した、「位相差画像」を用いたノイズ低減法の臨床CT画像への応用を実現することである。当初の研究計画では、平成29年度には、ノイズ低減が臨床的に重要となる領域の診断能に関する評価と、検査侵襲度低減の撮影プロトコールの提案という二軸に関する検討を目的とした。まず、昨年度から行ってきた研究結果として、本手法のノイズ低減効果の有効性に関する経カテーテル大動脈弁置換術前のCTの臨床データを用いた後方視研究追加実験を行い、その結果は海外学会で発表した。次に、本年度の第一の課題である低コントラスト領域における診断能の確認においては、現施設でリクルート可能な対照群の設定を行い、冠動脈プラークに関する検討をするために現在、後方視研究の準備を進めている。一方で、第二の課題である、検査侵襲度低減の撮影プロトコールの提案に関しては、現行のCT機器では、心電図同期撮影を利用する必要があるために、依然として一般臨床で行う前のプロトコールの最適化を行っている状況でる。しかしながら、その過程において、現在、循環器領域において心臓以外でも心電図同期撮影が有用であろう検査部位(例えば頸部CT血管造影や頭部CT血管造影時の差分画像を作成する際など)への本手法の応用が可能になるかという課題に対して、動態ファントムを用いた検討を開始し、その結果をまとめている。さらに本年度は、他施設の技術者との討論や情報収集を積極的に行った結果、本技術で得られた知見を元に、CTの「位相差画像」を使用しなくても、通常CT画像に対しても、このノイズ低減法を応用できるような技術に対する着想も得られた。現在はこの新たな手法に関する予備実験も開始している。
3: やや遅れている
研究者自身の研究施設の異動があったため、検討および患者リクルートに関して、当初の研究計画から遅れている。
低コントラスト成分の診断能の向上に関する検討として、現在患者リクルートの準備中である。一方、検査侵襲度低減の撮影プロトコールの提案に関しては、動態ファントム実験を含めた撮影法の最適化を行っている。また現在このノイズ低減法をすべての撮影法においても応用可能な技術の着想にいたっており、その技術の開発に関する検討を行っており、その妥当性などの検討も同時に行っていく予定である。
研究者の異動に伴い、研究計画が当初よりも遅れているため。
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