研究課題/領域番号 |
16K19823
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日高 勲 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70593440)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | NASH / 非侵襲的診断 / 内臓脂肪蓄積と肝障害 |
研究実績の概要 |
検討1.NAFLD症例におけるフィブロスキャン、RTEによる肝硬度測定と肝生検との比較。平成28年度末までに、肝生検を施行したNAFLD症例52例においてフィブロスキャンとRTEを施行した。肝硬変症例を除く34症例(NAFL17症例、NASH17症例)における中間解析にて、フィブロスキャンによるLiver stiffnessがNASH症例において有意に高値であった。また、RTEによるLF indexも有意に高値で、Meanは有意に低値であった。さらに肝硬変症例を含めて検討すると、RTEによるLF indexはNAFL症例、NASH症例、肝硬変症例と段階的に高値となることが判明した。非侵襲的NASH診断の有用な検査と期待でき、さらなる症例の蓄積とカットオフ値の設定と追加検討中である。 検討2.NASHと内臓脂肪蓄積との関連。フィブロスキャンやRTE施行時に、内臓脂肪面積についてもデュアルスキャンを用いてデータ集積を行った。34症例での解析では内臓脂肪面積だけでNALFDからNASH症例を抽出することは困難であったが、NASHで高値であったLF indexと内臓脂肪面積に正の相関を認めた。肝硬度マーカーとの組み合わせにより、高率なNASHの拾い上げが可能か検討中である。また、1年以上経過を追えたNASH症例11症例において、内臓脂肪面積の減少度とg-GTP値の改善度に正の相関(R2=0.764, P<0.01)を認めた。現時点でASTやALTの改善とは有意な相関を認めていないが傾向は認めている。 検討3.NASH発癌と内臓脂肪面積、肝弾性度との関連の検討。平成28年度末までに44例(HCV起因15例、HBV起因5例、アルコール性10例、アルコール性を除く非ウイルス性12例、PBC1例)の肝癌症例において肝硬度を測定した。背景肝による肝硬度の際について解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いずれの検討においても平成28年度までに予定通りの症例の蓄積が行えている。 特に検討1.NAFLD症例におけるフィブロスキャン、RTEによる肝硬度測定と肝生検との比較では、中間解析の結果、肝生検によるNASH診断と非侵襲的肝硬度測定装置フィブロスキャンおよびRTEの肝硬度のと関連を見いだせており、関連学会で成果を発表した。 引き続き、研究計画通りに検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
症例の蓄積は順調であり、平成29年度以降もさらなる症例の蓄積に努めていく。 検討1.NAFLD症例におけるフィブロスキャン、RTEによる肝硬度測定と肝生検との比較では、初年度の解析で非侵襲的肝硬度測定のNASH診断での有用性を見いだせており、研究計画通りカットオフ値の設定と前向き検討を行っていく予定である。 検討2.NASHと内臓脂肪蓄積との関連では、平成29年度以降は内臓脂肪面積とインスリン抵抗性や参加ストレスマーカーとの関連についても検討を行う。また、酸化ストレスマーカーの免疫染色も行い関連性を検討する。 また、NASHの治療経過と内臓脂肪面積の変化に関連性を見いだせており、体重と共に内臓脂肪面積の経時的変化が治療のメルクマールとなり得るか、さらなる症例の蓄積をはかる。さらに糖尿病に対するSGL2阻害薬などでは内臓脂肪面積の改善の報告があり、糖尿病合併NASH症例において追加検討する。 検討3.NASH発癌と内臓脂肪面積、肝弾性度との関連の検討では、平成28年度は症例の蓄積を行うのみであったが、平成29年度以降はウイルス性肝癌とNASH発癌における背景肝の肝硬度の際について検証を開始するとともに、非発癌NASH症例とNASH発癌症例における際についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に購入予定であった免疫組織染色関連試薬については、使用期限の観点から今年度は購入を見送った。次年度以降に購入し解析を行う予定である。 また、外注検査費用や消耗品についても見込み額より安価となった。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き検体集積、肝硬度測定、外注検査を行う予定であり、研究の推進には、平成28年度残額と平成29年度予定額が必要である。 平成28年度に購入予定であった、免疫組織染色関連試薬については平成29年度に購入し、研究計画通りに解析予定である。
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