研究課題/領域番号 |
16K19823
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
日高 勲 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (70593440)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NASH / 非侵襲的検査 / RTE / フィブロスキャン / 内臓脂肪蓄積 / NASH発癌 |
研究実績の概要 |
1.NAFLD症例における非侵襲的検査によるNASH早期診断の検討 2018年11月までに当科で肝生検を施行したNAFLD症例70例を対象とし、Matteoni分類によるNAFLとNASHの診断の鑑別に有用なパラメータを検索した。血液検査ではALT、FBS、HOMA-IRがNAFLに比較しNASHで有意に高値であった。M2BPGiなどの血清線維化マーカーに差は認めなかった。非侵襲的肝硬度測定として、超音波搭載のReal-Time Tissue Elastography (RTE) でのLF indexおよびFibroscanでのLiver Stiffness(LS)を測定した。LF undexはNAFLに比較しNASHで有意に高値であった。LSは有意差を認めなかった。また、BMIおよびDual Scanによる内臓脂肪面積もNASHで有意に高値であった。有意な因子についてROC解析を行いNASHの囲い込みに有用なカットオフ値の算定を行ったところ、LF indexがAUC 0.832と最も高く、カットオフ値を2.57とすると感度74.0%、特異度84.6%となり、NASH診断におけるRTEの有用性が示された。 また、NAS(NASH activity score)の脂肪化・炎症・風船様変性および線維化を反映するパラメータを反映するマーカーを血液検査およびRTE、フィブロスキャンの測定項目より探索した。脂肪化とはフィブロスキャンのCAP値が、炎症スコアとはASTが、風船様変性スコアとはHOMA-IRが相関し、線維化とはLSが相関した。 2.NASH発癌と内臓脂肪との関連の検討 HCV発癌(70例)とNASH発癌としてnonBnonC発癌(67例)において、CTによる内臓脂肪面積を比較した。NASH発癌群で有意に内臓脂肪面積が高値であった。またBMIもNASH発癌群で有意に高値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NAFLD症例における非侵襲的検査によるNASH早期診断の検討では順調に症例の蓄積が行えている。肝生検による組織診断(Matteoni分類)によるNASHの非侵襲的診断としてRTEによる肝硬度測定の有用性が示せた。2018年までに論文化できなかったため、2019年度内の論文化を目指す。 また血液検査と非侵襲的検査による組織診断NASの脂肪化や炎症、風船様変性さらに線維化ステージと相関する因子も見いだせており、非侵襲的検査による仮想NASスコアリングも作成中である。 さらにNASH発癌と内臓脂肪との関連の検討においても、NASH発癌における内臓脂肪蓄積を証明した。 引き続き検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
NAFLDにおける非侵襲的検査によるNASHの早期診断の検討では、NASHの拾い上げにRTEによる肝硬度測定の有用性を示せており、2019年度内の論文化を目指すとともに、前向き観察によるValidationを行う。 また、NASスコアリングや線維化と関連する因子について仮想NASスコアを作成し、非侵襲的検査によるスコアリングの有用性について追加検証を行う。 またNASH発癌においては内臓脂肪蓄積の関連を証明できた。骨格筋量についても追加検討し、サルコペニア肥満がNASH発癌の要因である可能性について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)研究成果を論文投稿予定であったが投稿準備が間に合わず、2019年度に投稿予定となった。 (使用計画)結果の解析を進め、成果について学会発表および論文投稿を行うために、研究費を使用する。
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