1.NAFLD症例における非侵襲的検査によるNASH早期診断の確立 2018年11月までに肝生検を施行したNAFLD症例(肝硬変は除外)72 例を対象にMatteoni分類によるNAFLとNASHの鑑別に有用なパラメータを検索した。NASHでは、ALT、FBS、HOMA-IRが有意に高値であった。非侵襲的肝硬度測定装置Real-Time Tissue Elastgraphy (RTE)によるMeanは有意に低値で、LF indexは有意に高値であった。またDual Scanによる内臓脂肪面積(VFA)もNASHで有意に高値であった。一方でFibroScanによる肝硬度(LS)に有意差を認めなかった。さらにNASH線維化進展の拾い上げに有用な因子についても検討した。Brunt分類によるstage3以上の線維化進展例は13例で、非線維化進展例と比較し、有意にFBSは高値、PLTは低値で、血清線維化マーカーM2BPGi、オウトタキシンは高値であった。RTEのMeanは有意に低値で、LF indexは有意に高値であり、FibroScanによるLSも有意に高値であった。さらにVFAも高値であった。ROC解析ではRTEによるLF indexが感度が最も高く、Cutoff値は2.59であった。RTEはNASH、線維化進展例の拾い上げに有用である。 2.NASH発癌と内臓脂肪との関連の検討 2019年12月までにHCC発癌と内臓脂肪面積の関連について、VFAが測定可能であったHCV発癌(98例)とNASH発癌としてnonBnonC発癌(83例)を比較した。VFAはHCV発癌群と比較し、nonBnonC発癌群で有意に高値であった。また、nonBnonC発癌群では糖尿病、高脂血症の合併が有意に多く、体重も有意に重かった。酸化ストレスマーカーである8OHdGに有意な差は認めなかった。
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