研究課題/領域番号 |
16K19824
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
鳥居 裕太 徳島大学, 病院, 臨床検査技師 (10748130)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 心房細動 / 心不全 / 経胸壁心エコー図検査 / スペックルトラッキング |
研究実績の概要 |
本年度は,まず研究データを解析するハードウェアを購入した.しかしながら,ストレイン(心臓の収縮期及び拡張期の歪み)を解析するソフトウェアについては予算が足りず,翌年度に購入することとした.そのため,心房細動に関する最新の知見について各学会(日本循環器学会,日本心臓病学会,日本超音波医学会など)に参加し,情報を収集した.心房細動患者では,心不全を来たしやすいことが知られているが,その原因については依然として議論がある.心房機能の低下,弁逆流の増大,右心機能の低下など様々な要因が複合的に関与していると考えられる. また,孤発生心房細動患者と洞調律患者の経胸壁心エコー図検査ついての論文を投稿することができた(Am J Cardiol. 2016 Jan 15;117(2):226-32).心房細動患者では,年齢,性別及び左室駆出率を洞調律患者と整合させて比較しても,各種の心エコー図検査指標に影響を与える結果となった.また,以前に報告されているように,心房細動患者では経年的に弁の逆流が増加したり,左房が拡大することを示した. 現在,心房細動患者のデータを収集することに加えて,当院に入院した心不全患者のデータを収集しており,心不全が発症する患者の背景疾患,心エコー図検査指標について検討を行なっている.そのデータ群の中で心房細動患者の特徴についても検討を行う予定である.加えて,心不全入院時に心房細動が新規に発症した患者についても検討を行い,心房細動発症に関与する因子も検討したいと考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心房細動の現況について各学会(日本超音波医学会,日本心臓病学会,日本循環器学会など)で多くの情報を得ることができた.心房細動患者では,心房機能が失われるために心エコー図検査指標の一部が評価困難となり,洞調律患者に比べて心機能評価が行いにくい点がある.しかしながら,新機能の心エコー図検査指標で検討を行うことで心不全発症の機序を明確にすることが可能かもしれない.今後は,心房細動患者における心不全を含めた心血管イベント予測因子の検討を行う予定である.心房細動患者の登録については,本年度も約50名程度の患者で心エコー図検査を施行しており,データ収集を行った.過去のデータについては2007年度からのデータがあるため,過去のデータから後ろ向きにも心房細動患者の心不全,心血管イベントについてもデータを収集した. また,心房細動患者のデータを収集することに加えて,当院に入院した心不全患者のデータを収集しており,心不全が発症する患者の背景疾患,心エコー図検査指標について検討を行なっている.そのデータ群の中で心房細動患者の特徴についても検討を行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に購入予定であったソフトウェア(心エコー図ストレイン(心臓の収縮期及び拡張期の歪み)を解析するソフトウェア)については予算の関係上,本年度に購入ができなかったため,来年度に購入予定である.現在,海外のメーカーと価格について交渉中である.ストレイン解析は現在,心エコー図検査指標の中で,収縮能を鋭敏に評価できる指標とされており,また左室だけでなく,右室や左房についても解析が可能となってきている.心房細動患者では,左房機能の低下はもちろんであるが,右心機能が低下していることを我々の研究で明らかにした.しかしながら,右心機能の指標としてストレインは使用しておらず,今後ソフトウェアを用いて評価する予定である. 心房細動患者の登録については,本年度も約50名程度の患者で心エコー図検査を施行しており,データ収集を行っている.過去のデータについては2007年度からのデータがあるため,過去のデータから後ろ向きにも心房細動患者の心不全,心血管イベントについてまた,当院に心不全入院した患者についてもデータを収集しており,心房細動と併せて心不全発症の要因についても検討を行いたいと考える. 来年度は心房細動に関する心血管イベント,心不全発症について検討を行い,データをまとめて学会発表を行う予定である.論文作成についても同時に行いたいと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度購入予定であったストレイン解析のソフトウェアが予算の関係上,購入不可であり来年度に購入することとしたため,本年度は各学会に参加し心房細動に関する情報収集を行なった.
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次年度使用額の使用計画 |
本年度購入不可であったストレイン解析用のソフトウェアを購入する予定である.現在,海外メーカーと価格および納入について交渉中である.
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