SHGイメージングの有用性・妥当性を明らかにするために、NASHモデルラットと正常ラットの肝組織を用いた観察、検討を行った。肝表面線維パターンを解析することで、従来は困難であった肝線維化の初期変化や進行の過程を経時的に観察した。また、SHGイメージを用いた①肝線維の太さ、②密度、③線維の3次元的立体構造のイメージングと定量化に成功した。従来は評価が難しかった『肝臓にどのように線維が付着しているのか』が立体的に評価可能である可能性が示唆された。NASHモデルラットは線維化が伴い肝表面のSHGで示されるコラーゲン線維の構造変化がみらた。今回確認された肝表面コラーゲンの構造変化をワークステーションを用いて画像解析し、有意な変化として観察可能であった。肝表面構造の変化はNASH線維化進展の初期変化をとらえている可能性がある。肝表面のコラーゲン線維構造は病理組織検査で評価することが出来ないため、SHGは代替不能な測定技術である。 次いでElastography装置を用いてNASH患者の測定を行い、測定結果とSHGシグナルとの相関を調べた。NASHの非発癌症例と発癌症例のSHGシグナルとElastography測定結果を比較検討した。Elastographyの肝硬度値と、肝線維構造が密度・線維自体の形態・太さには相関があり、肝硬変症例の同定にElastographyは有用であった。今後、症例数をさらに重ねて、測定方法が異なるShear wave elastography、Transient elastography、Real-time tissue elastographyのうち、どの装置のパラメーターが線維構造変化をより反映するか明らかにしていく。なお、NASH肝硬変症例の測定可能であったNASH発癌症例が想定よりも少なく、発癌高危険群のCut off値の同定には至っていない。
|