研究課題
ATP負荷を用いたDynamic CT Perfusion(CTP)において、心筋の造影効果を解析することで算出される心筋血流量(MBF:Myocardial Blood Flow)を用いた虚血検出能について検討した。対象は、虚血性心疾患疑いでCTPによる虚血評価が実施された25症例(平均年齢67.8±7.7歳、男性19例、女性6例)のうち中等度狭窄病変に対しinvasive FFRが行われた32血管。血流解析においては、冠動脈CTAからVoronoi法を用いて算出されるテリトリーマップを活用し、冠動脈支配領域毎のMBFを算出した。また、全心筋血流から算出される最も血流量の高い領域(正常領域と定義)をReference MBFとすることで、狭窄領域のMBFと正常領域のMBFの比をとり、Quantitative Perfusion Ratio(QPR)を算出した。結果は、MBFを用いた虚血評価(invasive FFR<0.8を虚血と判定)においては、感度86.7%、特異度64.7%、陽性的中率68.4%、陰性的中率84.6%に対し、QPRにおいては、感度86.7%、特異度100%、陽性的中率100%、陰性的中率89.5%と良好な結果が得られた。これまでのMBFを用いた報告でも、invasive FFRとの比較においては、乖離症例があることが知られていた。それはinvasive FFRが冠動脈狭窄前後の圧較差を評価するのに対し、MBFでは微小循環抵抗を含めた心筋血流そのものを評価しているため、特異度や陽性的中率の低下が生じるからである。今回我々は、CTAを用いたテリトリーマップの活用による正確な虚血領域MBFの算出とReference MBFを用いたQPRの算出により、非侵襲的にinvasive FFRに迫る手法を開発することができた。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Journal of Cardiology
巻: 70 ページ: 565~570
10.1016/j.jjcc.2017.04.002
Open Journal of Radiology
巻: 07 ページ: 9~22
10.4236/ojrad.2017.71002