研究課題
PET/MR 装置はFDG-PETによる糖代謝情報とMRによる詳細な解剖学的情報および様々な機能画像を同時に取得可能な新しいマルチ分子イメージング装置であり、高精度の融合画像を得ることができる。本研究では骨軟部腫瘍を対象とし、従来の手法では不可能であった腫瘍内部の様々な代謝や機能画像を重ね合わせて画素単位で直接比較し、腫瘍の悪性度診断や治療効果の予測および判定に用いるための手法の確立とその応用を目的としている。計画している具体的な研究項目は、①高解像度PET/MRイメージング手法の開発、②腫瘍内部の画素単位でのマルチパラメトリック解析の開発、③治療効果判定・予測方法の確立、の3 つである。本年度は前年度に確立された①および②を用いて主に患者におけるデータ収集を行った。組織内のアミド基のプロトンを可視化することによって腫瘍の蛋白濃度を推定するAmide Proton Transfer (APT) ImagingをPET/MR装置へ導入し、これによって糖代謝の指標であるFDG-PETのSUV値と蛋白代謝の指標とされるAPT値をボクセル単位で詳細に比較検討することが可能となった。前年度までの検討では少数の患者に対して先行研究を行ったところ、SUV値単独と比較して軟部腫瘍の鑑別診断に有用であることを示唆する結果であった。本年度はさらに症例を増やし、学会発表を行った。③に関しても治療前後の患者データを収集しており、今後解析と学会および論文発表を行う予定としている。
すべて 2018
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)