研究課題/領域番号 |
16K19834
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
笹尾 明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 研究員 (30508487)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 核磁気共鳴 / 非造影灌流画像 |
研究実績の概要 |
TOSHIBAメディカル社の臨床用高磁場MRI装置Vantage Titan 3Tにて、前立腺領域における最適なラベリングパルス印加位置の検討を行った。検討の結果、スラブの選択性からラベリング位置はイメージング位置より15㎜程度血流の上流である事が好ましいという結果であった。ラベリング・イメージングスラブの厚さは、10㎜程度が十分な信号を得るのに必要と思われた。TI値は前立腺の場合は3,000 msec程度が組織灌流を評価するためには最適であった。乳腺や腎臓でも同様の条件で腫瘍の描出をすることが可能ではあったが最適な条件を検討するには、症例数が少なく評価が難しいため、より症例を重ねて検討する必要があるものと思われた。さらに今回検討したような組織より血流の多い組織では短いTI、少ない組織では長いTIが必要と思われたが、長いTIを使用するためにはT1緩和時間をより長くするため外部静磁場を3Tより高磁場にする必要があるものと考えられるためハード面の開発も同時に進行する必要があるが、装置の新規導入は一般病院などの医療機関では資金的負担となり、他の検査における汎用性を考えると非常に困難な開発となる可能性がある。さらに、撮像時間がやや長いことも被験者の体動や腸管蠕動などの影響を考えると適正な血流評価の妨げとなるため、圧縮センシングなどの利用により撮像時間短縮の方策も検討しなくてはならない。 今回数社の臨床用MRIで検討を試みたが撮像条件の制限が多く、条件設定の段階での支障が多かったため評価が困難であった。今後は撮像できる条件を広く使用できるようにシークエンスの標準化を行っていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熊本地震のため全体的に非常に研究の進捗は遅れているが、装置類はおおむね復旧してきており、今後は通常通りの進捗度に復すことが可能と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
前立腺病変における造影剤使用とASL法の比較から得られた、技術を応用し、主に乳腺、心臓、腎臓、肝臓、膵臓などの臓器で組織血流信号を取得する方法を開発する。 まずはASL法のみでのボランティアスタディーを行い、組織内血流がこれまで報告されているような値を表現できているかを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
熊本地震が発生し、2016年4月から2か月ほどは災害からの復旧に時間を要したため研究遂行が困難であった。その後も、個々の病院機能の回復度の違いから研究を遂行するに十分な体制を再構築するまで半年以上の時間が必要であった。
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次年度使用額の使用計画 |
使用機器および病院施設が震災被害からほぼ回復してきたため、今後は遅れた分の検討も含めて研究を遂行できるものと思われる。
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