研究課題
平成28-29年度において、当該研究課題は多数の研究実績・論文化を行うことができた。具体的には、4次元胸部ダイナミックCTを用いた、喫煙者ならびにCOPD患者の種々の病態生理学的発見をもたらすことができ、それらは全て英文論文として出版済み、および投稿中である。特に、①COPD患者においては、通常は吸気で拡張し呼気で収縮する中枢気道(気管や主気管支等)が、奇異性の運動を示す(しばしば吸気時に虚脱し、呼気時に拡張する)。②COPD患者においては、左右肺、5肺葉間の呼吸運動の連動が消失する(いわゆる肺葉間のcollateral ventilationの存在を示唆するものと思われる)。③COPD患者においては、呼気時に過膨張・気腫肺の影響で心臓(特に右心系)が虚脱する(胸腔内圧の上昇等により、心拍出量が呼気時に急激に低下する可能性)、という3つの重要な生理学的発見を行うことができた。これらの発見は、通常の吸気ならびに呼気での息止めの胸部CTでは見出すことができず、今後のCOPD患者における重症度の把握、心肺機能の評価、治療効果の評価等において活用できるものと考えている。平成30年度以降も、当該研究結果を受けて4次元呼吸ダイナミックCTを用いた種々の研究を展開していく予定である。COPDはすでに「肺の疾患」ではなく「心臓を含む全身性の疾患」であることが認識されつつあるが、特に心臓MR等との対比で、COPD患者の心機能の低下に関し、呼吸ダイナミックCTの知見を活用した研究を展開したいと考えている。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)
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