研究課題/領域番号 |
16K19841
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
林 奈津子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (70736173)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NBCA / インターベンショナルラジオロジー / リピオドール |
研究実績の概要 |
本研究は NBCA の重合速度と塞栓深度のコントロールをより正確にしうる混合物質を明らかにし、安全な血管塞栓術を行うための使用方法を確立することを目的としている。 初年度である平成28年度はNBCA とリピオドールの混合液(NBCA-リピオドール混合液) の血管内挙動の解析について基礎的研究を行った。これまでの文献的報告においては、NBCA-リピオドール混合液の硬化時間は血液あるいは血清に混合液を滴下することで測定されていた。それらの文献から、NBCAの濃度がより高い条件であるほど硬化時間が短いと認識されているが、リピオドール自体が高い粘性を持っているため、実際の臨床における血管塞栓時にはリピオドールの影響も加わることで血管内における挙動が異なってくる可能性があると考え、より生体に近い条件での混合液の挙動を検討することが必要ではないかと考えた。 新たに血流流体モデルを開発し、そこにNBCAやその他のシアノアクリレート製剤に種々の割合でリピオドールを混合した混合液を注入することで、混合液の硬化の様子や血管閉塞に至る様子について詳細に観察し、様々なデータを得た。 血管内を想定した血流流体モデルにおけるNBCA-リピオドール混合液の硬化の様子が明らかになったことから、本研究の課題となっている新たな混合物質の開発により硬化をさらに良好に調整しうる混合液を作成した際には、NBCA-リピオドール混合液と新規混合液のどちらが臨床的に有用かを比較する基準となりうると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究協力者と頻繁に打ち合わせを行い実験を遂行することができ、基礎的データの検討が順調に行えたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
NBCA-リピオドール混合液の流体モデルでの実験データが得られたことから、今後はNBCAと新たな物質を混合し、前年度同様に硬化実験を行なっていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎データの収集に初年度の時間を多く費やしたため、高額な実験機器の購入を要さなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度に開発した血流モデルを踏まえ、より生体内に近い状態で実験を行うことができる機器を購入予定であり、次年度に使用予定としている。
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