研究課題/領域番号 |
16K19850
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
松本 俊亮 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20573281)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 冠動脈透明化 / 冠動脈石灰化分析 / 2重エネルギーCT |
研究実績の概要 |
CTは、マルチスライスCTが登場して以来、3次元的な形態診断が行われるようになった。そして、その数年後に2重エネルギー撮影法が搭載されるようになり、物質の弁別および成分分析ができるようになった。動脈の石灰化には軟骨成分と硬骨成分があることが知られているが、これを事前に調べる技術はなく、本研究の目的はCTにおける更なる人体構成物質の成分分析・定量化を目指し、ご遺体から摘出した臓器に透明化・染色技術を応用することで、冠動脈石灰化がどのような成分で構成されているかを明らかにし、その結果に基づいて、対象とする構造物の成分分析が、CTでどこまで可能かを検討することである。 当院Clinical Anatomy Laboratoryの協力により、約20人分のご献体より心臓を摘出、冠動脈を剖出することができた。タンパク質アミノ基のネットワークを一部残存させることのできる3%水酸化カリウム水溶液を使用し、脂質の可溶化には界面活性剤およびアルコールを使用して冠動脈を透明化することに成功した。 透明化した冠動脈を2重エネルギーCT(GE社製)で撮影し、主な石灰化プラークに対して実効原子番号をそれぞれ計測した。 計測したプラークをそれぞれ取り出し、X線回折装置や蛍光X線分析装置で成分分析を行っている。冠動脈石灰化の主成分はハイドロキシアパタイトとされてきたが、現在の結果ではそれ以外の成分が検出されており、さらなる解析を進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プラークの成分分析を島津製作所に依頼しているが、ご献体の一部を院外に持ち出すための倫理委員会への申請に時間がかかり、2016年12月にようやく申請が許可された。
|
今後の研究の推進方策 |
現在の石灰化プラークの成分分析の結果をみて問題がなければ、引き続き解析を進め、2重エネルギーCTでの実効原子番号の結果と対比してゆく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ご献体の一部を分析のため、院外へ持ち出す必要があったが、その倫理委員会の承認に時間がかかり、島津製作所に依頼する予定であった解析が遅れたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
遅れていた解析を今年度中に行う予定である。
|