研究課題/領域番号 |
16K19853
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
佐藤 香菜子 順天堂大学, 医学部, 助教 (80755520)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 透明脳 / 拡散MRI / NODDI / マウス脳 / 脳微細構造 |
研究実績の概要 |
神経軸索構造の観察が容易な軸索蛍光発色マウス(Thy1-YFPマウス)の脳について、透明脳化処理と拡散MRIの撮像を行った。得られた拡散MRIデータを用いて、最新の手法であるneurite orientation dispersion and density imaging (NODDI)による解析を行い、神経線維の密度や方向について病理所見と比較した。この研究により、正常マウス脳の海馬と前交連について神経線維の方向が拡散MRIにより評価可能であることを明らかにした。これらの研究実績についてはH28年度の国際学会で発表し、海外の研究者と意見交換を行った。また研究結果をまとめた論文をActa Ragiologica Open誌に投稿した。 透明脳化技術とNODDIの対比は前例がなく、生体の脳微細構造についてMRIから推測できる画期的な方法であり、マウス脳における画像と病理変化のベースラインを確立するという研究目的の第一段階を達成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究については、下記の通り解析を進め、その結果についてすでに論文投稿を行っており、十分な研究を行っていると考えている。 本研究の目的は、透明化脳と拡散MRIを用いて、加齢や変性によるマウス・ヒトの脳内微細構造変化について病理と画像の対比を行い、脳内構造を評価するベースラインを確立することである。これまでの研究では、透明脳と拡散MRIの最新の手法であるNODDIの解析により、正常マウス脳の海馬と前交連について神経線維の方向が評価可能であることを明らかにし、その研究論文をActa Ragiologica Open誌に投稿した。脳微細構造について、正常マウス脳で拡散MRIと病理所見と相関する部位を特定しており、H28年度の研究はおおむね順調に進展していると考える。 この結果は、脳微細構造が拡散MRIで評価可能であることを示しており、今後のさらなる研究により、マウス脳における画像と病理変化のベースラインを確立するという研究目的が達成可能と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後もマウスのMRI撮像及び透明脳化処理を続けると共に、画像解析を進める。年齢の異なるマウスでMRIデータ解析を行い、特に加齢と特に強い相関を示す解剖部位を特定し、その変化を観察していく。 透明脳化処理を用いた病理像とMRIの比較は最近進歩した分野で、生体脳MRIから病理所見を推測できる可能性を含む有望な分野である。進歩が急速で、新しい手法が次々に開発されているため、進行中の研究結果の発表と情報収集を積極的に行っていく。 解析は1つ1つの精度を上げて少数のマウスでも行えることがわかってきたため、マウス数については予定よりも減らして研究を進める可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
透明脳化処理を用いた病理像とMRIの比較は最近進歩した分野で、生体脳MRIから病理所見を推測できる可能性を含む有望な分野である。進歩が急速で、新しい手法が次々に開発されているため、進行中の研究結果の発表と情報収集を、海外を含め積極的に行ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品や旅費の支出で不足した費用にあてる。
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